10/14(月・祝)に開催された「第65回 男子日本ボディビル選手権」にて、横川尚隆が初優勝を果たし、令和初の「ミスター日本」に輝いた。今大会では9連覇中の絶対王者・鈴木雅が負傷の影響で欠場となったため、多くの猛者たちが「我こそが今年の日本一」の思いを胸に、熾烈な戦いを繰り広げた。
百戦錬磨のトップビルダーが勢ぞろいする日本選手権において、現在25歳の横川は“ポスト鈴木雅の最右翼”と言われてきた存在。本格的にトレーニングをはじめて約2年足らずで出場した2016年の「全日本ジュニアボディビル選手権」でいきなり優勝を成し遂げると、グイグイとその存在感を高め、昨年の日本選手権ではついに準優勝。脅威の勢いで、鈴木雅と並ぶ地位まで上り詰めてきた。
「とにかく、いけるところまで筋肉をデカくしたい、その思いでずっとやってきました。僕のスタイルというか、僕にとってボディビルはバルクがすべてだと思っています。キレとか完成度とか正直まだまだだと思いますが、バルクを追い求めてきたことで、ここまで来ることができました。これからもそのやり方は変わらないと思います」
昨年の活躍を経て、『アウト×デラックス』『ホンマでっか!?TV』(ともにフジテレビ系)といったバラエティ番組への出演など、2019年はメディアへの露出も一気に増えた。さらに、女子高生の筋トレを題材にしたアニメ『ダンベル何キロ持てる?』では、横川を想起させる爽やかイケメンビルダー・街尾成造が登場するなど、これまでボディビルに興味を持っていなかったであろう層からの人気も高まっており、長崎や愛媛といった地方大会でゲストポーザーとして登場した際には、大きな喝さいを浴びたという。
それゆえ、鈴木雅不在の今年の大会においては『優勝候補の筆頭』として多くの期待を背負い、大きなプレッシャーも感じていたのではないだろうか。
「うーん、正直なところプレッシャーはほとんど感じていなかったですね。ただ、今年はさまざまなメディアに出させていただくようになったことで、今日もそうですけど、ボディビルとか筋肉にあまり興味がない方であっても僕のためにわざわざチケットを買って、遠くから来てくれた方がたくさんいました。そういう方々のためにも優勝しなくてはいけないな、と感じていました。他の選手のことも最近はまったく気にならなくなりましたし、自分がやるべきことをやれば勝てると思っていました」
鈴木雅の欠場は横川にとっては思いがけないことではあったが、令和という歴史の変わり目に新王者が誕生したことは、新たな時代の到来を感じさせるステージであったと、今後語り継がれていくに違いない。
「雅さんに勝ちたいと思ってやってきましたし、来年どうなるかはわかりませんが、今の気持ちとしては優勝をこの一度で終わらせるのではなく、ボディビルをやめるまでずっと日本一であり続けることです。また一年後、必ずここに立ちたいと思います」
横川尚隆の伝説、その幕がいま上がった。