「走るフードコーディネーター」川﨑泰代さんに体づくり、健康づくりのための食事と栄養について教わるこの連載。第7回は夏バテをしないダイエットです。
高たんぱくで低カロリーのカンガルー肉に注目です
今回は疲労回復しながら脂肪燃焼を補う食材、夏バテに効果的な食事についてお話しします。夏バテというのは、スタミナ切れでダウンしてしまうことです。食欲がないからと食べずに痩せても美しいダイエットとはいえません。燃え食材や疲労回復効果のある食材をうまくとり入れ、しっかりバランスよく食べながら美しいダイエットを目指してほしいと思います。
夏痩せの原因は、暑さのため食欲が落ちることにあります。脱水、疲労感が起きると食欲が低下してしまうので、そこでそうめんやざる蕎麦など喉ごしのいいものばかりを食べていると、タンパク質が不足して筋肉が落ちます。それを、体重が減った=痩せたと思ってしまうのですが、秋になるとすぐにリバウンドしてしまいます。
夏場には夏野菜で水分とカリウムをとって、前回紹介した燃え食材を食べて常に代謝を上げるような状態にしておくと、体重の変動も少なく、秋になってリバウンドということもなくなると思います。
では夏に痩せたい。でも夏バテしたくないという時に食べるといい夏野菜を紹介しましょう。
代表的なものはトマトです。トマトには食物繊維のダイエタリーファイバーというものが入っていて、腸の働きを活発にします。夏は汗をかいて水分が体から失われていきます。水分補給、ビタミン補給によい食材にはトマトのほかピーマン、キュウリがあります。ただし夏野菜は食べ過ぎると体を冷やしてしまうので、体を温める食材、たとえば生姜などと組み合わせてとるといいでしょう。
ゴーヤにはビタミンB1が豊富なので疲労回復効果が高く、ゴーヤチャンプルはお勧めです。また、オクラは水溶性の食物繊維なので糖の吸収を緩やかにし、中性脂肪の生成を抑える効果があります。ですからそうめんやざるそばを食べる際に、薬味や香味野菜に加えてオクラを入れてもいいでしょう。夏バテの疲労回復と脂肪燃焼の効果高い食事としては、豚しゃぶに玄米ごはんにとオクラというメニューもお勧めです。
トウモロコシは、体を冷やさない夏野菜です。リノール酸とビタミンEが豊富に含まれているので、血液や肌をきれいにしてくれるアンチエイジング効果があります。トウモロコシをお茶にしたコーン茶も体を温め、血行がよくなります。
果物はどうでしょう。メロンとスイカはカリウムと水分が豊富で、利尿作用がありむくみ改善につながるうえ、夏バテ防止効果もあります。スイカは果肉の90㌫が水分なので栄養価はそれほど高くはないですが、βカロテンが豊富に含まれていて抗酸化作用があることから、がん細胞の成長の抑制、動脈硬化の予防、老化を抑制する作用が期待できます。とくに果肉と皮の間の白い部分に、血管を若返らせたり、疲労回復、新陳代謝を促すシトルリンという成分が含まれています。ただし白い部分は食べにくいので、ぬか漬けにしたり、他のフルーツと合わせてフルーツカクテルにしたりするといいでしょう。スイカは種も栄養価が高く、中国ではお菓子として食べたり、漢方にも使われています。
夏野菜を食べる時、それだけではタンパク質はとれないので、赤身肉、ラム肉と合わせて食べるようにしてください。余談ですが、いまカンガルーの肉も注目されてきています。高タンパク低カロリーです。体を燃やす効果がある食材です。日本ではあまりなじみがありませんが、海外では人気の高い肉です。日本でもアスリートの方々が最近は食べるようになったそうです。
そのほか疲労回復につながるのはビタミンB1が含まれる食材で、豚のヒレ肉、うなぎ、玄米、ぬか漬けなどがあります。ラム肉、ニンニクも効果てき面。またヨウ素が含まれるのり、ワカメなどの海藻類も同様です。
本当なら運動後20~30分以内に糖質とタンパク質を同時にとってもらいたいのですが、それが難しければ、その日の夕飯などに脂肪が燃焼し、かつ疲労回復に効果の高い食材をとり入れるといいでしょう。
(この項つづく)
※本記事は、2017年に公開した記事に加筆・修正を加えたものとなります
構成/石田佳子
川﨑泰代(かわさき・やすよ)
フードコーディネーター。アスリートフードマイスター。食育インストラクター。IHクッキングクリエーター。小学生のころよりバレーボールを始め、以来スポーツが生活に欠かせないものとなる。「走るフードコーディネーター」として、自らもフルマラソンに挑戦するなどアスリートとしての顔も持つ。自身の経験から「強い体と心は『食事』で作られる」と言うコンセプトのもと、一般アスリートからトッププロまで幅広く食事を指導。テレビ、ラジオ、雑誌などメディアでも活動している。
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