運動不足は睡眠満足度に悪影響!?




質の良い睡眠は健康や充実した日常生活に悪影響を及ぼすと言われています。しかし、「太っていると良い睡眠も得られない」という興味深いデータが出ています。

株式会社インテージヘルスケアが、京浜・京阪神の16~79歳の男女2,641人を対象に、「健康」に関する意識と実態の把握を目的とした「生活健康基礎調査」を実施し、その中から「睡眠」に対する満足度についてAIを用いて分析モデルを作成。「睡眠に満足していない人」の特徴を分析しました。

分析結果のポイント

【AIが分析した睡眠に満足していない人の特徴(※1)】
・日常生活でスポーツや運動の頻度が低い
・疲れやすい、ストレスを感じる、肩や首筋のこり、アレルギーなどの慢性症状
・BMIが25以上の男性
・精神面では、人間関係の悩み、自分の仕事や勉強などの悩みがある
※1:各特徴の関連性は分析していません。

調査結果の詳細

AIが分析した「睡眠に対する満足度」と関わりのある項目とは?
本調査で聴取した最近1年間の「睡眠に関する満足度」と、「自覚症状」「意識や行動」に関する項目(※2)の関連性を探るためにAIを用いて分析を行ないました。その結果、睡眠の満足度が低いことと以下のような項目には関連性があることがわかりました。
※2:「寝つきが悪い」や「眠りが浅い」といった睡眠に直接関連する項目については除外。

【AIが分析した「睡眠に満足していない人」に関連性の高い項目】
●生活行動
・スポーツや運動の頻度が低い
●健康状態
・BMIが25以上の男性
・自分の健康について悩んでいる
・疲れやすい、ストレスを感じる、肩や首筋のこり、アレルギーによる肌のかゆみなどの慢性症状がある
●意識
・人間関係に悩んでいる
・自分の生活上の問題(仕事や勉強など)に悩んでいる

AIによる分析では、自分の睡眠に対して満足度が低いことと、健康状態が悪かったり、仕事・勉強などの生活上の問題について悩んでいたりすることは関連があるという結果でした。これらの内容について、通常の調査で行なわれる分析手法で検証しました。

AI分析:「睡眠の満足度」と「スポーツや運動の頻度」は関連がある?

AIは「睡眠に満足していないことと、スポーツや運動を行なっている割合が低いことは関連がある」と分析しました。これについて、調査データで最近1年間のスポーツや運動の頻度別に睡眠の満足度を比較したところ、睡眠に不満を持っている割合は、運動を週4日以上行なっている人は18.3%なのに対し、週3日以下の人では26.8%。睡眠に不満を持つ人は運動の頻度が低い傾向にあり、AIの指摘通り、睡眠の満足度と普段の運動の頻度との関連性が明らかになりました。

AI分析:「睡眠の満足度」と「健康状態」には関連がある?


AIは、「睡眠に満足していないことは、慢性的に疲れやすい、あるいはストレスを感じている、またBMI25以上の男性と関連がある」と分析しています。実際の調査データで睡眠の満足度と健康状態の関連性を見ると、慢性的に「疲れやすい」「ストレスを感じる」といった症状を感じている人は、睡眠に不満がある割合が高いことが分かります。また、BMIが25以上の男性は睡眠に不満がある割合が約3割で、全体と比較すると高いことが検証されました。

AI分析:「睡眠の満足度」と「自分の健康や仕事についての悩み」は関連がある?

AIによる「睡眠に満足していないことは、慢性的に疲れやすい、あるいはストレスを感じている、またBMI25以上の男性と関連がある」という分析結果について、同様に調査データ(※3)で確認しました。その結果、睡眠に不満を持っている人は、自分の健康や自分の仕事・勉強などについて悩みを持っている割合が高く、一方で、睡眠に満足している人は悩みが少ない傾向にあり、体だけでなく心の健康と睡眠の質との関連性も明らかになりました。
※3:回答者自身の生活における現在の悩みを複数回答

株式会社インテージヘルスケア コンシューマーヘルスケア・ソリューション部 氷髙智子氏の考察

人生の約3分の1の時間を占めると言われる睡眠。生活者の睡眠に関する関心は非常に高く、睡眠の改善に関する商品は、OTCやサプリメントから、枕や布団といった寝具、良い睡眠の環境を整えるためのアイマスクや加湿器など、様々なカテゴリで展開されています。しかし、生活者は睡眠の改善に正しくアプローチできているのでしょうか。

今回の調査では、睡眠に不満がある人の日ごろの健康状態や生活行動についての特徴が明らかになりました。日頃からストレスや疲れを感じていたり、運動不足で太り気味になっていたり、仕事や人間関係で悩んでいたり……そういった、多くの人がどれか一つ以上はあてはまりそうな事柄が、睡眠の質に関わっているようです。そのため、睡眠の質の改善のためには、単に睡眠だけを念頭に対策するのではなく、睡眠の質と関わりの深い症状や生活行動についても改善していく必要がありそうです。

睡眠を改善したい生活者に向けたアプローチとして、例えば、睡眠改善のサプリの販促と併せて、睡眠の質を向上させるために肥満の改善も必要であることを訴求したり、疲れに効果のある商品との併用を提案したりすることなどが考えられます。周辺症状を含めた改善を訴えていくことで、生活者も睡眠改善に関してより効果を実感し、睡眠関連市場のさらなる広がりも期待できるのではないでしょうか。

また、今回はAIを用いて分析を行ないました。AIによる分析ではこれまでとは違った切り口でデータを見ることが可能で、様々なテーマでの活用が期待されます。弊社では今後も積極的にAIを用いた分析を行い、発信してまいります。

生活健康基礎調査について

「生活健康基礎調査」は、生活者の健康状態・健康意識、OTC薬の使用実態を捉え、OTC薬と生活者との関わりに関する経年データを整備することを目的としたものです(本年で29回目)。今回の調査より対象年齢上限を69歳から79歳に拡大しています。なお、このリリースは本調査の中から、調査結果を抜粋して作成しています。

調査対象者:16~79歳の男女個人 ※2018年から対象年齢上限を69歳から79歳に拡大
調査地域:京浜・京阪神
サンプル抽出・調査方法:株式会社インテージが保有する郵送調査モニターを対象に、国勢調査による人口構成比に合わせて割当抽出し郵送調査を実施
有効サンプル数:男女計2641サンプル
調査実施期間:2019年4月10日(水)~2019年4月26日(金)
調査主体:株式会社インテージヘルスケア コンシューマーヘルスケア・ソリューション部