「コスプレとコンテストはベクトルが違う」コスプレ筋肉弁護士・小林航太 #3




コスプレ筋肉弁護士・小林航太さんインタビューの最終回。本格的にコンテストにも参戦している小林さんに、トレーニーとしての思いや意気込みを語っていただきました。

■情報を発信している方の肩書や実績を確認することが重要

――現在はコンテストにも積極的に出場されていますよね。

小林:トレーニングを続けていく中で、ある程度体もできあがってきた実感があって、だんだん成果を発揮できる場が欲しいと思うようになってきました。最初に出場したのは、2017年のベストボディジャパン山梨大会です。実際1回出てみると、コンテストに向けて体を仕上げること、とくに直前の1週間で最後の仕上げをして、いざステージに臨むという過程が思った以上に楽しかったんです。今まで経験したことのないような減量や水抜はとても大変ではあったんですが、すごくやりがいを感じました。コンテストに参加するようになってから、よりボディメイクにハマりましたね。

――コンテスト用の体づくりのための情報はどこから入手しているのですか?

小林:我流な部分が多いのかなと思います。トレーニング法はボディビルダーの方々のYoutube動画を見て、参考にさせていただくこともあります。

――我流で結果を残せている要因はどこにあるのでしょうか?

小林:「自分に足りていない箇所がどこなのか」を客観的に評価して、該当の部位を補強することができれば、どんなやり方でもなんとかなると思っています。

――分析で意識していることはありますか?

小林:トレーニング歴が長くなってくると、自分の主観的な価値観と客観的な基準が一致してくると思うんです。「こういう体が良い体なのか」ということがなんとなくつかめてきて、この部位の筋肉が足りないとか、つねに自分がやるべきことを把握することが大事だと思います。

――食事、栄養の面で工夫されていることは?

小林:オンシーズン、オフシーズン問わず、タンパク質の量は気にしています。つねに減量を意識していると、どうしても筋肥大はしにくいですし、パワーも落ちてしまうので、オフシーズンはあまり気にせず、自分が食べたいように食べています。

――トレーニングに関する基礎的な知識をどのようにして身につけたのでしょうか?

小林:最初に通っていたジムにいた世話好きのおじさんに教わりながら、あとはインターネットの情報を参考にしていました。最近はSNSでもトレーニングのさまざまな情報が出回っていますが、結局誰がどのように発信しているのかが大事だと思います。栄養の話では、ボディビルダーの山本義徳さんが発信しているものを参考にしています。トレーニング法にしても、どこの誰だかわからない人が発信している投稿が広まることに疑問を抱いています。例えば写真を1枚もアップしていないパーソナルトレーナーの話なんてどこまで信用できるのかと。インターネットから情報を集める場合は、まず情報を発信している方の肩書や実績を確認することが重要だと思います。

――最近、トレーニングにまつわることで何か興味を持っていることはありますか?

小林:歳のせいなのか体にガタがきているので、ケアに関して興味を持っています。最近コンディショニングツールのコンプレフロスを知り合いからもらって使うようになりました。

――コスプレがきっかけで始めたトレーニングの目的も現在は変わってきている?

小林:最初はコスプレ衣装づくりの延長だったのが、今はコンテストに出場するようになりましたからね。トレーニングに関してはコンテストを意識して行なうようにしています。昔はコミケの時期に合わせて減量をしていましたが、今はいつコンテストがあるのかによって、体重の増減を気にするようになりました。コンテストにハマる人は自分を追い込むのが好きな人が多いと思うんです。たとえ勝てなくても、達成感、やりがいを感じることができるんですよね。コンテストに出場する予定があるかどうかでトレーニングへの集中度合いが変わってくるんですよ。やっぱり目標がないとトレーニングを続けることは難しいと思います。

――体を鍛えることによって生まれた筋肉を活かしたコスプレへのこだわりもあるのでしょうか?

小林:コスプレイヤーの男女比って偏っていて、女性が圧倒的に多いんですよ。少ない男性勢の中にも女装をしたいという人が少なからずいて、自分の体を活かしたコスプレをする方ってそこまで多くないんですよね。でも自分は、男性にしかできないコスプレをかっこよくできたほうがいいと思っていて、筋肉を活かしたコスプレをすることにこだわっている部分はあると思います。

――新しいコスプレの時代をつくりたいという気持ちもある?

小林:そんな大それたことは考えてなくて、コスプレはどこまでいっても自己満足の世界なので自分の考えを持って楽しめればいいのかなと思います。ただ、僕や仲間たちのコスプレを見て、「筋トレを始めました」と言ってくださる方もいるんです。筋肉を活かしたコスプレを良いなと思って、真似をしてくれる人が存在するのがうれしいことなので、楽しみ方のひとつとして、こういうコスプレもあることを認識してもらえれば十分なのかなと思います。

――コスプレ会場とコンテストの舞台で自分の体を見せていますが、二つのコンテンツで通じる部分はあるのでしょうか?

小林:似ていると言われてみれば、似ているところもあると思います。ただ、ベクトルは違うと思います。キャラクターを見せるのがコスプレで、コンテストに関しては自分自身の筋肉を見せるもの。コスプレの場合、自分を評価してもらうよりは、そのキャラを好きな方々に楽しんでもらえることがうれしくて、コンテストは筋肉を評価してもらえるのがうれしい。喜びのベクトルも違ってきますね。

――これから小林さんの逆パターンで、ボディビル界からコスプレ界に参入する人も増えてくるかもしれません。

小林:そうですね。その流れが来たら楽しいと思いますよ。なかやまきんに君さんが冬コミでゴンさんのコスプレをやって話題になっていましたもんね。あれは良い意味でずるいなと思っていましたけど(笑)。すごくいいことだと思います。

小林弁護士のインタビューを動画でお届けします!
【YouTube VITUP!オフィシャルチャンネル】

取材/高野昭喜 撮影/神田勲
協力/パーソナルトレーニングジムBiP飯田橋店

小林航太(こばやし・こうた)
2018年8月、NHK『みんなで筋肉体操』に謎の筋肉弁護士として出演したことをきっかけに一躍時の人に。同年の大晦日のNHK紅白歌合戦では『みんなで筋肉体操』の共演者らと共に紅組天童よしみのステージを盛り上げた。2019年2月には初の著書『東大卒筋肉弁護士のもう後がない状況でも確実に結果を出せる超効率勉強法』(主婦と生活社)も出版し、弁護士業務の傍ら、各種メディア活動を重ねている。2019年7月、 法律事務所ストレングス設立に至る。