主将たちに聞くwithコロナと学ボ~青山学院大学パワーリフティング部主将・田中啓左君(4年)【GKB応援団】




新型コロナウイルス感染拡大防止のため、ジムや大学が閉鎖されてきたここ数ヶ月。果たしてトレーニングに勤しみ、ボディビルやパワーリフティングでの躍進を目指す学生たちは、この活動自粛期間をどう過ごしてきたのか? 緊急事態宣言も解除となりに明るい話題も増えているなか、各大学の主将や中心メンバーにインタビューを実施。今回は青山学院大学パワーリフティング部主将の田中啓左君(4年)に話を聞いた。

こういう時期だからこそできたこともあった

――現在は部としての活動が制限されていると思いますが、普段はどれくらいの頻度で活動しているのですか?

田中:基本的には週に1回、土曜日に大学のジムで活動をしていて、今年は新入生を除いて14人が所属しています。3月初旬頃までは参加人数を減らし、体温測定を実施するなどの対策をしながら活動していたのですが、やはり学校へ立入禁止となってから今までは、集まっての活動はできていない状況です。

――直接会えないなか、部員間のコミュニケーションはどのように取っていましたか?

田中:活動自粛になった当初は、特に後輩との連絡を取る機会が減っていたのですが、Instagramのストーリーなどで近況報告をしている部員も多くて、そこでお互いにコメントをしあったりしていました。家でトレーニングをしている動画を上げたりしていて人もいて、それを見て自分もアップして……という感じで、お互いの生存確認をしている感じです。

――やはりこの期間は、自宅でのトレーニングになりますよね。

田中:自分はダンベルセットが家に届いたのが5月の頭だったのでなかなか難しい時間でしたが、その後はイスを使って簡易的なベンチプレス台を作ったりしてトレーニングをしています。あと、部員の中にはバーベルを自作している人もいたんですよ。

――自作ですか!?

田中:コンクリートを固めて作るみたいなのですが、インスタで作り方が流れてきたらしいです。バーベルなどはAmazonとかでも売り切れも多いのもありますし、買うよりは安く済むみたいで。

――SNSの力を感じるエピソードですね。

田中:はい。新入生に対しても、うちはスポーツ推薦で入ってくる学生も多いので、そういう人たちに活動を見せるという意味で部のSNSで動画を上げたりしていましたし、2月頃から簡易的な新歓もやっていました。まだまだパワーリフティングやボディビルは他の部と比べるとメジャーではないと思いますが、これにより入部が決まった新入生もいます。ただ割と最初の方に積極的に上げすぎて、最近はちょっと弾切れ状態になっていますが(笑)。

――青山学院大は田中君も含めてパワーリフティングの強豪校ですが、今年は多くの大会が延期・中止になっています。なかなかモチベーションを保ってトレーニングを続けるのが難しいのでは?

田中:そうですね、正直なかなか気持ちを保つのは難しいですし、体型を維持するのも大変でした。部員の中には、もともと出場する予定の階級から10キロ近く階級を落としている子もいて。ただある意味、「コロナに合わせたパワーリフティング」のような気持ちでモチベーションを保ってやっていくようになりましたね。

――こういう変化に対応しながら続けているわけですね。

田中:パワーリフティングはこれまで2、3ヶ月に一度試合があり、年間通して試合が続いている状況だったので、体のケアをする時間があまり取れていないということもありました。そういう意味ではこの自粛期間で、パワーリフティングにおいて大切な体の柔軟性を高めたり、じっくりと食事の改善ができたり、メンタル面のケアをできたりと、こういう時期だからこそできたことも結構あったなと感じています。僕の場合は、これまでの自分の動画を見ながらクセなどをじっくりと研究できました。

――ポジティブな変化もあったと。

田中:はい。今後は少しずつ活動が再開できるようになると思いますし、部としては関東学生パワーリフティング選手権大会の連覇を伸ばすことや、インカレ、全日本学生選手権の奪還という目標があります。個人的としても、今はケガの影響もあってベンチプレスを主にやっているので、全日本ベンチ、世界ベンチに出場したいですし、世界大会では団体の表彰台を日本人で埋めたいと思っています。

――今後は新入生も本格的に加わってくると思うので、楽しみですね。

田中:青学の体育会の中にありながら全体の活動は週に1回と、1年生にとって入部の敷居は低いのかなと思うので、トレーニングに興味がある人はぜひ入部してくれると嬉しいですね。最近コーチと話しているのは、“生え抜き”の選手を育てていきたいということ。もともとパワーリフティングすら知らないヒョロヒョロの小さい子が入ってきて、部に入って4年間でデカくなって強くなる……っていうのを目指していきたいなと思います。

取材・文/木村雄大

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