すべて「天然もの」がいいとは限らない!? 【桑原弘樹のサプリ道】




サプリメント実践的活用のスペシャリストである桑原弘樹さんが、サプリや栄養に関する疑問を解決する新連載。第4回は、サプリメントの原材料について。

■「天然」と「合成」のメリット、デメリット

天然と合成の定義に関しては、難しい面もあります。

たとえば大元の原料がトウモロコシのデンプンを加水分解して作り出したブドウ糖の場合、その先の製法に関わらず、それをすべて天然と呼ぶのかです。

いずれにしても、天然であろうと合成であろうと、構造が同じであれば理論上は同じ成分ということになりますから、品質という点では問題ないと思います。

しかし実際、ビタミンなどは天然のもののほうが吸収率は高かったりもします。ただし、天然のビタミンは価格がそれ相応に高かったりもするので、そのあたりのバランスによるのではないでしょうか。

また、すべて天然のものが理想というわけではありません。

たとえばクレアチンはシアナミドとサルコシンが主原料ですので、大元の原料も含めて完全な合成品ということになります。このクレアチンを天然で抽出しようとすると、膨大な量の肉が必要となり、また手間暇もかかるため現行のクレアチンの何倍もの価格になりますし、天然であるがゆえのメリットもイメージしにくいのです。

しかし逆に合成品の場合は、その製造プロセスにおける副産物や不純物には十分気をつけなくてはいけないケースがあります。とくにクレアチンの場合はその純度が重要で、99.9%以上である必要があると思います。

ビタミンの場合は多くが合成品でしょうし、プロテインは原料という観点で見れば乳や豆ですから天然と言えます。

アミノ酸の場合は、タンパク質を分解したり抽出したりして作るケースはまずないでしょうから、大元の原料は天然でも製法はまちまちとなります。各社製法を確立して特許でおさえたりもしていますから、極端に安価なアミノ酸は少し気をつける必要があるかもしれません。

また、ハーブのように、原料が天然だから安全というのも間違っています。ハーブの中にはドーピングの対象になるものもありますし、そもそも食品として認められていないものもたくさんありますから。


桑原弘樹(くわばら・ひろき)
1961年4月6日生まれ。1984年立教大学を卒業後、江崎グリコ株式会社に入社。開発、経営企画などを経て、サプリメント事業を立ち上げ、16年以上にわたってスポーツサプリメントの企画・開発に携わる。現在は桑原塾を主宰。NESTA JAPAN(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会 日本支部)のPDA(プログラム開発担当)。また、国内外で活躍する数多くのトップアスリートに対して、サプリメント活用を取り入れた独自のコンディショニング指導を行ない、Tarzan(マガジンハウス)など各種スポーツ誌の企画監修や執筆、幅広いテーマでの講演会など多方面で活躍中。著書に「サプリメントまるわかり大事典」(ベースボールマガジン社)、「私は15キロ痩せるのも太るのも簡単だ!クワバラ式体重管理メソッド」(講談社)、「サプリメント健康バイブル」(学研)などがある。プロフィール写真のタンクトップにある300/365の文字は、年間365日あるうち300回のワークアウトを推奨した活動の総称となっている。300日ではなく300回であることがポイントで、1日2回のワークアウトでも可。決して低くはないハードルだが、あえて高めの目標設定をすることで肉体の進化が約束されると桑原塾は考え、実践している。