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「筋」「筋膜」の緊張や癒着を生み出す根源【カラダ美人講座】

日々の生活習慣において一度身についた姿勢や動作というのは、なかなかそれ以前の状態には戻らないものです。

もちろん、カラダにとって“好循環”的なものであれば、むしろ大歓迎ですが、どちらかと言えば、“悪循環”的なもののほうが身に付きやすいのが世間一般の相場とされているのではないでしょうか。

いわゆる、それが誰もが一つや二つはもっている「癖」と言われる悪(?)習慣。なにしろ、“なくて七癖”と言われるくらいですからね。

実際、癖というのは個人的な傾向のうちで、どちらかと言えば好ましくないものとして受け取られる例がほとんどです。例えば、爪をかんだり、怠け癖と言われるように……。

振り返ってみると、それらは積極的に身につけようと努力した記憶はないもので、他者から指摘されて初めては気づいたという人も少なくないのではないでしょうか。そう、いつの間にか、誰に指導されたわけでもないにもかかわらず、みずから主体的に身に付けてしまっているのです。

そうしてカラダに染みついた癖は、当然カラダに負担をかけてしまいます。すなわち、筋・筋膜の緊張や癒着を生み出す根源となっているのです。すると、その根源はカラダ全体に歪みを派生させ、そのカラダの歪みはさらに筋膜の状態を悪化させることになっていく……。まさに悪循環なのです。

そして、それは私たちが生きてきた歴史の分、カラダに蓄積されていき、ある日、何らかのきっかけによって不意に、あるいは徐々に痛みや辛さというシグナルを発することになるのです。

癖を生み出しやすい生活習慣の代表例として挙げられるのは、やはり今日においてはスマホ、パソコン、あるいはそれに伴う座り仕事、運動不足などの影響が挙げられるでしょう。なかでもスマホ。おそらく、現代人のカラダに染み込んだ癖のほとんどは、スマホの使い過ぎによって形成されていると言っても過言ではないほど、それは大きな影響力を及ぼしていると感じています。

皆さんは、一日どのくらいスマホと対峙していますか? そう言えば、電車の中を見渡してみると、どこを見渡しても大多数の人たちがスマホの画面に見入っていることに気づきます。その姿勢をつぶさに観察してみると、姿勢正しくのぞき込んでいる人というのは稀であり、大半の人たちは首を垂れ、背中を丸まめ、さらに座っている人も立っている人も骨盤後傾をキープしています(笑)。なぜ、そういう姿勢になるかと言えば、それがもっとも楽だから。

©naka-stock.adobe.com

ちなみに、「姿勢」とは、何かに取り組むときのカラダの構えや心の持ち方を示すものです。そういう意味で言えば、電車で見かける光景は、姿勢と言うにはあまりにも無防備であり、その言葉から醸し出されるようなキリっとした“明確さ”や“積極性”といったものは感じられません。言い換えれば、電車内で見かけるスマホとの対峙は、本来の姿勢が弱体化したところに、さらにジワジワと付け込む隙を与えている負の行動様式と言えるかもしれません。

一方で、新型コロナウイルスによる自粛期間中には、スマホの使用時間はこれまで以上に増えていたのではないかと想像します。もちろん、それに伴って姿勢にも悪循環を及ぼしていたであろうことは想像に難くありません。コンディショニングセラピストの立場から言えば、ちょっと怖い気がします。

こうした不良姿勢によるシグナルは首・肩こりや腰痛、膝痛などの症状として表われることは、皆さんもご存じの通りです。また、それらの症状に加え、ここ数年でとくに多いのが頭痛を訴える人たち。実際、筋・筋膜が短縮すると、過剰な圧迫が起きて頭痛の要因になることがしばしばあります。

不良姿勢を涵養する時間帯が増えれば増えるほど、今後、頭痛を訴える人がますます増えるのではないか……。まずは、「辛い状態が当たり前になっている自身」にどうか気づいてください。

山本康子(やまもと・やすこ)

鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師、コンディショニングセラピスト。施術キャリアは30年。日本代表チームのトレーナーとしてトップアスリートのボディコンディショニングを手掛けてきた。その間、約6年に渡り外国人トレーナーと共にヨーロッパなど各地を転戦した経験によって、日本にはないスピリットを強く感じ、施術テクニックはもちろんのこと、人として現在もなお進化すべく努力を続けている。2004年に、アー・ドライ治療院、2013年に筋膜リリース専門のスカンディックケアを開業。施術者の育成と労働環境整備にも力を注ぐ。

Scandic care (スカンディックケア)
〒162-0056 東京都新宿区若松町10‐1 YSビル2 F
Tel. 03-3208-2543
Mail:info@scandiccare.jp
営業時間:平日. 11:00 ~ 21:00、土日祝. 11:00 ~ 20:00
公式HP

アー・ドライ治療院(新宿区)
ホームページ未公開。2020年3月現在、新規受付はできない状況です。スカンディックケアにお問い合わせください。

 

取材/光成耕司