サプリメントにも「食べ合わせ」がある【桑原弘樹のサプリ道】




サプリメント実践的活用のスペシャリストである桑原弘樹さんが、サプリや栄養に関する疑問を解決する連載。第11回は、サプリメント同士の相性について。

■相性がいい組み合わせ、悪い組み合わせとは?

ゴールデンタイムにおいては、プロテインとマルトデキストリンなどの糖質は相性がいいと言えます。これはゴールデンタイムはプロテインもさることながら、糖質の効果が同様以上に高いためです。

①必須アミノ酸、②ブドウ糖、③必須アミノ酸+ブドウ糖の3パターンをゴールデンタイムで摂取した場合、③>②>①の順で筋肥大が起きたという報告もあります。

他には、ビタミンCとビタミンEも相性がいいですね。どちらも抗酸化の機能を持ちますが、ビタミンCは水溶性でEは脂溶性ということもあって、体内で機能する場所が異なるため効果が高いのです。さらに活性酸素と反応したビタミンEは、ビタミンEラジカルとして悪玉のビタミンEへと変えられてしまいますが、それをビタミンCが還元してくれる作用を持ちます。ビタミンCは多めの摂取とし、Eは脂溶性がゆえに過剰な摂取を控えるという工夫はあってもいいかもしれません。

アルギニンとシトルリンの場合は、シトルリンがアルギニンの前駆体であり、アルギニンの消耗度が激しいため、時間差をもってアルギニンへと変換するシトルリンとの相性は抜群にいいと言えます。また、ここにオルニチンを加えた場合は、尿素回路のアミノ酸としての相性がいいです。

関節系で言えば、グルコサミンもしくはN-アセチルグルコサミンが関節成分であるプロテオグリカンの大元の材料となりますので、コンドロイチンやヒアルロン酸との相性がよく、また関節内においての役割が異なるコラーゲンとの相性もいいです。さらにはコラーゲンがビタミンCを補酵素として使うため、ビタミンCも相性がいい栄養素に加わってきます。

脂肪燃焼系では、カフェインとHCA(ヒドロキシクエン酸)は、分解と燃焼という役割分担という以上に相乗効果があります。

逆に相性が悪いという観点から見れば、まず食物繊維が考えられます。

食物線維は第六の栄養素とも呼ばれ、便秘の解消など多くの効果が期待される、とくに女性や減量中の人には欠かせない栄養素です。しかし、そもそも吸収を阻害し、排出を促す素材だけに、とくにミネラル類と食物繊維は相性がいいとは言えないかもしれません。

食物繊維以外で阻害要因が考えられるのは硫酸第一鉄を使った鉄分で、ビタミンEの吸収を阻害します。それ以外の鉄源であるピロリン酸第二鉄やヘム鉄などは、ビタミンEの吸収を阻害する心配はないようです。

また、サプリメントそのものではありませんが、卵の白身はビオチンの吸収を妨げます。ビオチンとは、湿疹やニキビに効果があるとされているビタミンの一種(ビタミンH)です。しかし、ビオチン自体は主に腸内細菌により合成され、通常は不足することはあまりないと思われますので、極端に卵白を摂取するというケースでなければこの組み合わせに関してはあまり気にする必要はなさそうです。

他にも、お茶に含まれるタンニンや、コーヒーのカフェインも、栄養素の吸収を阻害する要素を持っています。これもあまり神経質になるレベルではありませんが、厳密に言えばサプリメントをお茶やコーヒーで摂取することは避けたほうがよさそうです。

また、豆類に多く含まれるフィチン酸や、ほうれん草に豊富なシュウ酸もミネラル類の吸収を妨げます。

同じミネラル同士で言えば、亜鉛とカルシウム、リンとカルシウムは相性があまりよくありません。とくにリンの摂取量がカルシウムの摂取量の2倍を超えると、吸収阻害が起こります。とりあえず通常の食生活ではほぼ問題ないレベルと言えますが、極端に加工食品を多く食べたりするとリンの摂取量が一気に増え、逆にカルシウムは意識をしないと不足しがちなミネラルなので、一応の認識を持っておく必要があるでしょう。

このように列挙してみると、食物繊維・タンニン(お茶)・カフェイン(コーヒー)・加工食品あたりに気をつけていれば、とりあえずの問題はなさそうです。


桑原弘樹(くわばら・ひろき)
1961年4月6日生まれ。1984年立教大学を卒業後、江崎グリコ株式会社に入社。開発、経営企画などを経て、サプリメント事業を立ち上げ、16年以上にわたってスポーツサプリメントの企画・開発に携わる。現在は桑原塾を主宰。NESTA JAPAN(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会 日本支部)のPDA(プログラム開発担当)。また、国内外で活躍する数多くのトップアスリートに対して、サプリメント活用を取り入れた独自のコンディショニング指導を行ない、Tarzan(マガジンハウス)など各種スポーツ誌の企画監修や執筆、幅広いテーマでの講演会など多方面で活躍中。著書に「サプリメントまるわかり大事典」(ベースボールマガジン社)、「私は15キロ痩せるのも太るのも簡単だ!クワバラ式体重管理メソッド」(講談社)、「サプリメント健康バイブル」(学研)などがある。プロフィール写真のタンクトップにある300/365の文字は、年間365日あるうち300回のワークアウトを推奨した活動の総称となっている。300日ではなく300回であることがポイントで、1日2回のワークアウトでも可。決して低くはないハードルだが、あえて高めの目標設定をすることで肉体の進化が約束されると桑原塾は考え、実践している。