「反り腰」改善・予防のエクササイズについては、連載第14回で紹介しましたが、じつは、それだけでは十分とは言えません。
反り腰の人の特徴として、股関節内旋――すなわち、内またになる傾向が強いことはすでに述べた通りです。ここでは、復習の意味も込めて、その際にお話しした内容に補足を加えつつ、もう一度確認しておきましょう。
反り腰で歩く人の特徴は、ももの全面(腸腰筋、大腿四頭筋)が常に短縮している状態です。とくに女性の場合は、筋力不足を補う動作として、内またにすることによって、なんとかバランスを保って普通に立ててしまっていると考えられます。
したがって、この内またに関しては股関節や腰部のトラブルという未来のリスクも大きいので、しっかり改善しておく必要があるというわけです。
股関節の内旋は、お尻が常に突っ張ってしまっている状態でもあります。そこで、エクササイズを実施する場合は、股関節を外旋方向に導くと同時に、お尻の緊張を解く効果のあるものを選択しなければなりません。
次の写真1~3が、その一石二鳥の方法です。
座骨に左右差がなく(どちらか一方に重心がかかっていたりしていないこと)、椅子にバランスよく座った状態(写真1)から、左の脚を反対側のももの上に乗せます(写真2)。
そして、両手を組んだ状態から左ヒジを乗せたほうの脚を上体でグッと押し込んでいきます。その際、体が左に傾きがちなので、左ヒジは特に意識せず、おへそを中心にして真っ直ぐに上体をかがめていくことがポイントです(写真3)。これを左右行ないます。
写真4のように、左手で押し込むようにするのはNGです。
体をむしろ歪みのほうに導いてしまう可能性があります。
山本康子(やまもと・やすこ)
鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師、コンディショニングセラピスト。施術キャリアは30年。日本代表チームのトレーナーとしてトップアスリートのボディコンディショニングを手掛けてきた。その間、約6年に渡り外国人トレーナーと共にヨーロッパなど各地を転戦した経験によって、日本にはないスピリットを強く感じ、施術テクニックはもちろんのこと、人として現在もなお進化すべく努力を続けている。2004年に、アー・ドライ治療院、2013年に筋膜リリース専門のスカンディックケアを開業。施術者の育成と労働環境整備にも力を注ぐ。
Scandic care (スカンディックケア)
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取材/光成耕司