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未来の幸せに向かって進む歩き方#8 ~内またの改善②~【カラダ美人講座】




前回、内またの改善法として、内旋状態にある股関節を外旋方向に導きつつ、お尻の緊張を解くためのエクササイズを紹介しました。それだけでも十分に効果はあると思いますが、股関節内旋を解放するのはなかなか至難の業。もう一工夫欲しいところです。

そこで今回は、その仕上げに至るエクササイズを2つ紹介します。

反り腰で歩く人の特徴は、すでに述べた腸腰筋(この場合、とくに大腰筋)とともに大腿直筋、そして外せない大腿筋膜張筋も短縮している状態です。腸腰筋は股関節の屈曲に関わる重要な筋ですが、体の深層部にあるためなかなか意識しにくいのが特徴と言えるでしょう。

「大腰筋は、大腿骨と背骨をつないでいる筋肉で、直立姿勢を保持するときや太ももを引き上げるときに働くもの。この筋肉が衰えると、重い足を十分な高さまで上げることができなくなります。つま先も下がってしまい、すり足気味になります。すると、ちょっとした段差にもつまずきやすくなり、転倒・骨折が起きやすくなります。

大腰筋は体の深部にある筋肉ですので、それだけを鍛えられる運動はありませんが、腹筋や下半身の筋肉と大腰筋を同時に鍛える運動により、筋力を維持・向上することができます。大腰筋は人間の体を立たせたり歩かせたりするための中心的な筋肉ですので、鍛えることにより、転倒を予防できるほか、腰痛の予防・改善にも役立ちます」(公益財団法人 健康・体力づくり事業財団のHP『大腰筋を鍛えよう』より)

このように、移動手段として欠かせない筋肉だからこそ、鍛えるだけでなくしっかりとケアも心がけておきたいところ。反り腰の人であればなおさらです。

まず、椅子を準備します(写真1)。

【写真1】

椅子に座り、ストレッチしたい脚を後ろに伸ばします(写真2)。そのときに後ろに伸ばした脚は外に開かないように(股関節外転しないように)注意することで、より股関節の全面がストレッチされます。

【写真2】

次に両腕を前方から万歳のポーズまで挙上します(写真3)。すると股関節の前面が‟グイッ”とストレッチされます。これで外腹斜筋も含めた広い範囲がストレッチされることになるはずです。

【写真3】

次に、ストレッチされている反対側にクルリと回旋を加えます(写真4)。胸の前面をしっかり向けることがポイントです。腰椎椎間板ヘルニア等に問題がある方は、注意深く様子を見守りながら悪化させないよう十分に気をつけてください。

【写真4】

最後に、その姿勢から上半身を傾けてさらにストレッチ感を高めていきます(側屈。写真5)。これも腰椎椎間板ヘルニア等に問題がある方は、注意深く様子を見守りながら実施してください。ケアのためのストレッチで、悪化させては本末転倒になってしまいますからね。

【写真5】

その後、逆回転で、ゆ〜っくり元のポジションまで戻します。

さて。これで一度立ってみましょう。ストレッチを行なったほうの脚が長くなったように感じませんか? 腰の硬さも取れ、少し軽くなったように感じるのではないでしょうか。デスクワークの合間に肩こり・腰痛でお悩みの方にもオススメです。

 

もう一つのエクササイズは、テニスボールを利用した足裏(足底筋膜)にアプローチする方法です。

これは連載14回で紹介したもも前→ふくらはぎのストレッチに続く、最終的な仕上げとして取り入れてみるとよいでしょう。内側アーチ(写真6~7)、外側アーチ(写真8~9)ともに、しっかり足裏全体の緊張を解いていくことがポイントとなります。

【写真6】
【写真7】
【写真8】
【写真9】

股関節周辺部の硬さ、すなわち内また傾向への偏りは、日々の習慣によって徐々に蓄積されてきた姿です。つまり、それだけ長い歴史を積み重ねてきた悪癖状態なので、一朝一夕にはその症状からは解放されないものです。

したがって、1回のアプローチだけで改善されるわけではありません。歯医者の治療と同じで、歯の痛みがなくなると、次第に遠ざかってしまうのと同じ。ケアの場合も、その改善の意味は、一時的に症状が和らいだというだけなのです。根強い状態の悪癖に対しては、根気強い定期的なアプローチが大切であるということを忘れないでください。

山本康子(やまもと・やすこ)

鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師、コンディショニングセラピスト。施術キャリアは30年。日本代表チームのトレーナーとしてトップアスリートのボディコンディショニングを手掛けてきた。その間、約6年に渡り外国人トレーナーと共にヨーロッパなど各地を転戦した経験によって、日本にはないスピリットを強く感じ、施術テクニックはもちろんのこと、人として現在もなお進化すべく努力を続けている。2004年に、アー・ドライ治療院、2013年に筋膜リリース専門のスカンディックケアを開業。施術者の育成と労働環境整備にも力を注ぐ。

Scandic care (スカンディックケア)
〒162-0056 東京都新宿区若松町10‐1 YSビル2 F
Tel. 03-3208-2543
Mail:info@scandiccare.jp
営業時間:平日. 11:00 ~ 21:00、土日祝. 11:00 ~ 20:00
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アー・ドライ治療院(新宿区)
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取材/光成耕司