サプリメント実践的活用のスペシャリストである桑原弘樹さんが、サプリや栄養に関する疑問を解決する連載。第32回は、筋肉をつける上で必要となる栄養素について。
■代謝をスムーズに進める栄養素が重要
タンパク質は筋肉をつける上で欠かせない重要な栄養素ではありますが、それだけではとても効率が悪いと言えます。
例えばトレーニング後のゴールデンタイムには、タンパク質だけよりも糖質だけのほうが筋肥大の効果が高いという報告もあります。もちろん、その両方をセットで摂るのが一番効果は高くなりますが、糖質は筋肉をつけることにおいて、かなり優先順位の高い栄養素と言えるでしょう。
また、ビタミンやミネラルといった微量栄養素は、それ自体エネルギーにもなりませんし、ましてや筋肉の材料にもなりません。ただし、これらがないと代謝がスムーズではなくなり、ひいてはATP(エネルギー)の産生能力が落ちていってしまいます。一見、遠回りで間接的なように感じるかもしれませんが、代謝がスムーズでATPの産生が円滑に進むことが、筋肉をつける上で重要なポイントとなります。
つまり代謝がスムーズに進むために必要な栄養素が、筋肉をつける上で優先順位の高い栄養素ということになります。
これは、体内で筋肉をつける上で関与してくる、さまざまな物質が合成される際にATPを使っているからです。酵素はタンパク質ですが、タンパク質だけを摂取しても酵素はつくられません。微量栄養素であったり、ATPがきちんと存在していることが前提となるのです。
まずは基本中の基本となりますが、三大栄養素をある程度のバランスを取りながら摂取することです。その際には極端な糖質カットをしたり、逆に脂質過多になったりせず、タンパク質は少し多めを意識して、それを3度の食事に取り入れることが重要です。さらに、ビタミン、ミネラルも必要量を摂るようにします。
このベースをしっかりとつくった上で、例えばクレアチンであるとか、BCAAであるとか、HMBであるとか、さまざまな機能性の成分を活用してくといいでしょう。
桑原弘樹(くわばら・ひろき)
1961年4月6日生まれ。1984年立教大学を卒業後、江崎グリコ株式会社に入社。開発、経営企画などを経て、サプリメント事業を立ち上げ、16年以上にわたってスポーツサプリメントの企画・開発に携わる。現在は桑原塾を主宰。NESTA JAPAN(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会 日本支部)のPDA(プログラム開発担当)。また、国内外で活躍する数多くのトップアスリートに対して、サプリメント活用を取り入れた独自のコンディショニング指導を行ない、Tarzan(マガジンハウス)など各種スポーツ誌の企画監修や執筆、幅広いテーマでの講演会など多方面で活躍中。著書に「サプリメントまるわかり大事典」(ベースボールマガジン社)、「私は15キロ痩せるのも太るのも簡単だ!クワバラ式体重管理メソッド」(講談社)、「サプリメント健康バイブル」(学研)などがある。プロフィール写真のタンクトップにある300/365の文字は、年間365日あるうち300回のワークアウトを推奨した活動の総称となっている。300日ではなく300回であることがポイントで、1日2回のワークアウトでも可。決して低くはないハードルだが、あえて高めの目標設定をすることで肉体の進化が約束されると桑原塾は考え、実践している。