サプリメント実践的活用のスペシャリストである桑原弘樹さんが、サプリや栄養や肉体に関する疑問を解決する連載。第42回は、トレーニーたちの間で少しずつ浸透してきている「マッスルフル」について。
■一回につき20g~40gのタンパク質摂取が目安
「マッスルフル」とは一度に利用できるタンパク質の量のことで、ざっくりと表現すれば一回にどれだけの量のプロテインを飲めば効果的なのかの上限値のようなものです。
タンパク質が足りなければ当然ながら効果も出にくくなりますが、逆に増やせば増やしただけ効果が上がり続けるわけではありません。タンパク質を摂る量を徐々に増やしていくと、どこかで頭打ちになるシーンがあります。これがマッスルフルです。
運動強度やそもそもの個人差も大きいため一概に何gと規定しきれませんが、20gくらいまで増やしたほうが効果があるというのが一般的です。各社のプロテイン摂取量の基準も一回20gほどを目安にしているものが多いのは、そういった理由もあるでしょう。
また、どこまで増やしたらいいかも個人差が大きいようですが、ざっと40gくらいが上限という見方が多いです。つまりプロテインの一回の摂取量は、タンパク質換算で20g~40gがより効果的ということになります。もっと増やしたければ、一回の量を増やすのではなく、頻度を上げて対応したほうがいいでしょう。
意外に知られていませんが、高齢者は一日のタンパク質の必要量が増えていき、アスリートとまではいかずとも健康な大人よりも多く摂る必要があります。また、一般的に朝食や昼食ではタンパク質の摂取量は不足気味で、逆に夕食は過剰に摂取しているという現状もあるようです。
マッスルフルを意識した上で、3度の食事とトレーニング後のゴールデンタイムにおけるタンパク質摂取量を見直してみるといいかもしれません。タンパク質だけを確実に摂取できる点において、プロテインの利用価値が上がるタイミングでもあります。
桑原弘樹(くわばら・ひろき)
1961年4月6日生まれ。1984年立教大学を卒業後、江崎グリコ株式会社に入社。開発、経営企画などを経て、サプリメント事業を立ち上げ、16年以上にわたってスポーツサプリメントの企画・開発に携わる。現在は桑原塾を主宰。NESTA JAPAN(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会 日本支部)のPDA(プログラム開発担当)。また、国内外で活躍する数多くのトップアスリートに対して、サプリメント活用を取り入れた独自のコンディショニング指導を行ない、Tarzan(マガジンハウス)など各種スポーツ誌の企画監修や執筆、幅広いテーマでの講演会など多方面で活躍中。著書に「サプリメントまるわかり大事典」(ベースボールマガジン社)、「私は15キロ痩せるのも太るのも簡単だ!クワバラ式体重管理メソッド」(講談社)、「サプリメント健康バイブル」(学研)などがある。プロフィール写真のタンクトップにある300/365の文字は、年間365日あるうち300回のワークアウトを推奨した活動の総称となっている。300日ではなく300回であることがポイントで、1日2回のワークアウトでも可。決して低くはないハードルだが、あえて高めの目標設定をすることで肉体の進化が約束されると桑原塾は考え、実践している。