ローリング療法って何だ!?〈前編〉【佐久間編集長コラム「週刊VITUP!」第138回】




VITUP!読者の皆様、こんにちは。日曜日のひととき、いかがお過ごしでしょうか?

 

突然ですが「ローリング療法」をご存知でしょうか? 先日、ローリング療法師の寺尾隆宏さん(rollingbase代表)のもとを訪ね、治療やアスリートのパフォーマンス向上に効果があるというローリング療法を体験させてもらいました。その体験記をお伝えする前に、まずはローリング療法とは何なのか?というところから紹介していきましょう。

rollingbase代表の寺尾さん

 

創業者は接骨師の国家資格を持つ蓑原右欣(みのはら・すけよし)さん。自身が交通事故で後遺症に悩んでいたことから治療法の研究を重ね、自動脊椎矯正機(自動式ローリング器)を発明し、国内特許を取得しました。これが今から60年前、1960年のことです。自動式ローリング器とは、言ってみれば寝転がって自動でローラーが動くベッドのことです。このローラーベッドは画期的な開発ではありましたが、その後より効果的かつ精密な治療を目指し、手動によるローリング器が開発され、その手技が今日まで受け継がれていきました。

数多くのローラーが並ぶ

 

その伝統のローリング療法の手技を受け継ぐ一人が、寺尾さんです。およそ60年の歴史があるにもかかわらず、認定されているローリング療法師は330人程度と狭き門。寺尾さん自身、その治療に触れたことがこの道を目指すきっかけだったと言います。

 

「サッカーをやっていた高校時代に、ローリング療法師のトレーナーがいました。そこでやってもらったのがローリング療法との最初の出会いです。それから時が経って、2011年にマラソントレーニングのやりすぎにより、坐骨神経痛が過度な状態となり、左半身が麻痺して痛みを感じなくなってしまいました。いろいろな治療をしても治らずに困っていて、そんなときに高校時代にやってもらったローリング療法を思い出したんです。そしてローリング療法を4~5回と受けていたら脚に力が入るようになり、走れるようになりました。実際にローリング療法のすごさを知って、自分でも極めたいと思ったんです」

 

その後、寺尾さんはローリング療法師の資格を取得し、2015年8月にrollingbaseを創設。自身が現役のランナーということもあり、コンディショニングにとっての世界最高峰の場所をつくろうというコンセプトのもと、自分のお店を構えました。

 

「店名はrollingbase(ローリングベース)。ローリング療法がベースであるということと、アスリートがここに集まって情報交換をできるような基地(ベース)であってほしいという意味合いもあって、こう名付けました」

 

rollingbaseは、ベースであるローリング療法に加え、体の回復を促す酸素カプセルや、血流を整える水素吸引、温熱療法のラジオ波、加速度トレーニングマシンである「パワープレート」なども導入されていて、一般の方だけでなく、アスリートの頼もしいコンディショニング基地となっています。

 

3年前からローリング療法を取り入れた陸上短距離の飯塚翔太選手は、先日の日本選手権では見事に200mで優勝。桐生祥秀選手、ケンブリッジ飛鳥選手、多田修平選手、小池祐貴選手といったそうそうたるメンバーが顔をそろえた100mのファイナルでは、桐生、ケンブリッジに続く4位に入賞しました。同じく100mファイナリストに名を連ねた竹田一平選手もローリング療法を取り入れている選手です。ローリング療法は、治療だけでなく、コンディション調整や体のケア、パフォーマンス向上にも大きな効果があるようです。

 

「飯塚選手は出会ったときにはすでに2度オリンピックに出ていて、代表チームのトレーナー、ミズノのトレーナーなど、周りにはたくさんの優秀なトレーナーがいました。お会いしてローリング療法の話をしたら実際に来てくれまして、やってもらうと本人も今までにない手応えを感じたようで、それからはずっと体を見ていて、レースにもすべて帯同しています。陸上選手は筋肉をグッと固めて走っているので、固めた状態が日常になってしまっています。自分で力が入っていることもわからないくらいだと、なかなかいいパフォーマンスは出せません。固まってしまっている部分をローリングでとってあげると、今まで動かなかったところが動くようになったり、自分でコントロールできるようになったります。それにより、本来もっているパフォーマンスを引き出すことができると思います」

 

治療だけでなく、アスリートのパフォーマンス向上にも確かな成果を出しているローリング療法とは、いったいどんなものなのか? 実際にどんなことをやるのか? 40代半ばとなり、そろそろ体にガタがきはじめている私が実際に体験させてもらいました。この模様は次回お届けします。それではまた来週!

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佐久間一彦(さくま・かずひこ)
1975年8月27日、神奈川県出身。学生時代はレスリング選手として活躍し、高校日本代表選出、全日本大学選手権準優勝などの実績を残す。青山学院大学卒業後、ベースボール・マガジン社に入社。2007年~2010年まで「週刊プロレス」の編集長を務める。2010年にライトハウスに入社。スポーツジャーナリストとして数多くのプロスポーツ選手、オリンピアン、パラリンピアンの取材を手がける。