宮本和志×和田良覚トレーニングに潜入【後編】




“最強レフェリー”和田良覚式さんのもとでトレーニングを積んでいる宮本和志選手に、そのトレーニングの効果を語ってもらった(トレーニングの様子は前編参照)。

――相当ハードな練習でしたね。

宮本:今までやっていたヘビートレーニングというのは、重たい重量を一発とか二発とか、そういうトレーニングでした。自分がやっていたトレーニングと正反対ですよね。見ての通りついていくのがやっとで、すごく勉強になります。

――高重量トレーニングとどんな違いがありますか?

宮本:高重量トレーニングは、いつもケガをするリスクが高いと思います。逆にこういうトレーニングというのは、ケガなく安全に体を追い込めるし、なおかつ心肺機能も高まって、有酸素運動的なこともあるのもいいですね。プロレスの新弟子時代はこういうこともやっていましたが、それともまた少し違って、新しい刺激が入っています。最初の頃は1週間くらい筋肉痛が抜けませんでした。今も和田さんのトレーニングをやると、次の日まで代謝が上がった状態で、体が火照った状態が続きます。

――宮本選手は高重量トレーニングをやってきましたが、自重でも筋肉に効くんですか?

宮本:反対にものすごく効きます。自重で回数をこなすというトレーニングに慣れていなかったというか、正反対のことをやっていたというのもあるんですけど、井の中の蛙だったということですよね。プロレスや格闘技をやっていたら、競技用のトレーニングというのは絶対に大事だと思います。こういうトレーニングは競技用で、パフォーマンスも向上すると思います。もちろん、高重量トレーニングがパフォーマンス向上にならないという意味ではないですけど、心肺機能の強化や、トータル的な競技力向上には、こっちのほうが有効だと思います。

――和田さんの存在は?

宮本:和田さんが妥協させてくれないので余計にきついです(苦笑)。でも一人だとそこまで追い込めないし、ちゃんとしたコーチがいることで追い込んでいけるし、ありがたいなと思います。和田さんのトレーニングは実際にやってみるとウワサ以上でしたね。いろんな選手が和田さんのパーソナルを受けにくるという理由がわかります。

――数多くのメニューがあって、休みがないのが特徴的だと思いました。

宮本:一方通行ではなくて、タテだったり、ヨコだったり、ナナメだったり、ツイストしたりとか、角度を変えて休みがないので、飽きるヒマがないというか、多角的な方向で同一モーターを回すというのは、今でいうジャイアントセットに近いような感じですね。脚だったらハムもそうだし、大腿四頭筋もそうでし、お尻もそうですし、全部に効きます。肩も三角筋にも僧帽筋にも効く種目があります。コンパウンド系から入って、アイソレーション系に入っていくというのが、すごくいいなと思います。

――こうしたトレーニングを取り入れて自分に変化を感じる部分はありますか?

宮本:和田さんとトレーニングをやるようになって、体重が3キロ近く落ちました。ヘビー級でやりたいので体重はあまり落としたくなかったんですけど、自然と落ちてきたんです。今は110㎏を切るくらいの勢いですね。このトレーニングをやってからミット打ちやサウンドバッグをやっても、最初よりは息が上がらなくなりましたし、能力は向上していると思います。トータル的にはトレーニングは2~3時間やっています。

――現在、バーベルを使ったトレーニングはどのくらいのペースで?

宮本:前より頻度は落ちました。以前は週6日ジムに行っていましたが、今は4~5回。BIG3は必ずやるようにしていますが、肩はケガがあるので軽い重量にしてやっています。和田さんのトレーニングは、競技力向上にはすごくいいと思います。試合で使える筋肉、筋持久力もこっちのほうが絶対につくと思います。ウエイトトレーニングをやっていても、以前より筋持久力が上がっているなと感じます。バーベルトレーニングと同時進行でこっちのトレーニングも継続して、よりレベルアップしていきたいですね。

 

取材協力:グッドスキル

取材・佐久間一彦/撮影・中田有香