サプリメント実践的活用のスペシャリストである桑原弘樹さんが、サプリや栄養や肉体に関する疑問を解決する連載。第46回は、自販機でもよく見かけるようになった炭酸水について。
■食欲増進、便秘解消などの効果
ここでは糖質などを含まない、純粋な炭酸水について考えてみたいと思います。
ひとつ考えられるのは、食欲増進効果です。炭酸で胃が刺激されて食欲が増すというものですが、これは胃から分泌されるグレリンというペプチドホルモンが、炭酸水を飲むことで増えることに起因するようです。グレリンは食欲を増進させるホルモンなので、食事の前の炭酸水はバルクアップには効果的かもしれません。
一方で、空腹時に炭酸水を飲むと一瞬、空腹感が紛れるという効果もあります。これは減量などをした人であれば経験的に感じていることかもしれませんが、同じカロリーがゼロのものであっても、水を飲むよりも空腹感がごまかせるのではないでしょうか。純粋な炭酸水ではありませんが、ゼロコーラなどが減量のお供になるのもそういった理由からでしょう。
もうひとつは腸への効果です。胃のみならず腸に対しても刺激となるため、とくに便秘には効果があります。ただしガスが含まれていますから、膨張感を引き起こす可能性もあるので、逆に下痢や過敏性腸症候群の人には向いていないかもしれません。
また、天然の炭酸水の中には高硬度のものもあり、便秘解消や代謝アップに効果的と謳われたりしますが、お腹の緩い人が大量に飲むとかえって悪化しますので、そこは注意が必要と言えます。
他にも、理論的には血中の二酸化炭素濃度が上がることで血流が促進されるなども考えられますが、コップ一杯程度を飲んだくらいではさほど効果は期待されないかもしれません。
飲用以外では、炭酸の効果でお肉などが柔らかくなります。買ってきたお肉を炭酸水に漬け込んでおくと、よりおいしく食べられます。
以前は炭酸水で歯が溶けるなどと言われたこともありますが、今では都市伝説的であってほとんど心配ないと思います。
桑原弘樹(くわばら・ひろき)
1961年4月6日生まれ。1984年立教大学を卒業後、江崎グリコ株式会社に入社。開発、経営企画などを経て、サプリメント事業を立ち上げ、16年以上にわたってスポーツサプリメントの企画・開発に携わる。現在は桑原塾を主宰。NESTA JAPAN(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会 日本支部)のPDA(プログラム開発担当)。また、国内外で活躍する数多くのトップアスリートに対して、サプリメント活用を取り入れた独自のコンディショニング指導を行ない、Tarzan(マガジンハウス)など各種スポーツ誌の企画監修や執筆、幅広いテーマでの講演会など多方面で活躍中。著書に「サプリメントまるわかり大事典」(ベースボールマガジン社)、「私は15キロ痩せるのも太るのも簡単だ!クワバラ式体重管理メソッド」(講談社)、「サプリメント健康バイブル」(学研)などがある。プロフィール写真のタンクトップにある300/365の文字は、年間365日あるうち300回のワークアウトを推奨した活動の総称となっている。300日ではなく300回であることがポイントで、1日2回のワークアウトでも可。決して低くはないハードルだが、あえて高めの目標設定をすることで肉体の進化が約束されると桑原塾は考え、実践している。