2020年はすべてをこの大会に。マッスルゲート神戸で2冠達成【関西学生ボディビル王者・宇佐美一歩インタビュー①:GKB応援団】




学生ボディビル、通称・学ボを盛り上げる連載「学ボ応援団(GKB応援団)」。今回は、昨年の関西学生ボディビル選手権で他を圧倒する強さで制覇し、全日本学生ボディビル選手権では4位に食い込んだ、宇佐美一歩君にインタビュー。まずは、10月に行なわれた『マッスルゲート神戸』について。

コロナ禍だからこそ大会に向けたトレーニング・減量に集中できた

――『マッスルゲート神戸』では、ボディビルのジュニア(23歳以下)級と、65キロ以下級の2階級制覇を達成しました。まずは大会を振り返っての感想を教えてください。

宇佐美 2冠できて嬉しかった、それに尽きますね。本当はオーバーオールも獲れれば良かったのですが、バックステージで見ていてもそれは少し厳しいなと思っていました。実際のところ、ジュニアと65キロ級に関しても周りのほうが自分より大きく見えたので、優勝できるか、2位くらいかな……と思っていたほどだったので、今回の2冠という結果には満足しています。

――今年はいろいろとトレーニングの難しさもあった年だったかと思いますが、身体の仕上がりはいかがでしたか。

宇佐美 うーん……80%ぐらいかなって思いますね。自分としての過去最高ではあったんですけど、最後の調整で少しカーボアップしすぎて浮腫んでしまったなという反省はありました。ポージングについても、正直な話、今年はほとんど練習をする時間がなく大会を迎えてしまったのでかなり不安だったんです。ただ、去年の経験もあったので、そのときの感覚を思い出しながらステージ上で見せることができたんじゃないかと思います。

――新型コロナウイルス感染拡大の影響で全国的にジムが閉鎖されたりといったことがありましたが、そのあたりの影響はありましたか。

宇佐美 今年はもともと9月に行なわれる予定だった関西学生ボディビル選手権に合わせて調整していたんですけど、中止が決まりモチベーションはいったん落ちましたが、そのあと10月末に『マッスルゲート神戸』が開催されると知り、そこに向けて照準を変えて調整をしはじめました。もちろんジムが閉鎖されたりもしましたが、僕の場合は家に器具はけっこう揃っているので、むしろ「ここで差を付けてやろう」と思っていました。

「マッスルゲート神戸」ではハイレベルな戦いの中で「関西に宇佐美あり」と存在感を示した(中央が宇佐美)

――大会の時期がずれたことも特に問題はありませんでしたか。

宇佐美 はい。狙っていたところとそこまで時期的に大きなずれがあったわけではないですし、大学もオンライン授業になったことでかなり時間的な余裕もあったので、減量期間が少しだけ長くなったことで、逆に余裕を持って進められたなと思います。ただ、減量期間が長くなることの精神的なキツさはありましたが(笑)。

――ある意味、今年は例年よりも良い状態で準備ができたということですね。

宇佐美 だと思います。ただ1つ、フリーポーズが正直かなり苦手なんですよ。曲や流れを決めるのも本当に大会の直前だったりするので。「これカッコいいな」っていう曲を直感で選んだんですけど、それも本当に直前で、実際にポージングを練習したのは前日。あ、そういえば、『マッスルゲート神戸』でのフリーポーズは、実はヒビキに考えてもらったやつなんですよ。

――ヒビキとは、濱崎響君のこと?

宇佐美 そうです。もう減量の末期の頃になると考える力がなくなって、フリーポーズを考えるのもどんどん後回しになっちゃうんですよね。響とは高校選手権の頃から仲良くなって(※高校選手権では宇佐美が優勝、濱崎が2位)、今でもSNSで頻繁にやり取りしているんですけど、彼はフリーポーズを考えるのがすごくうまいんです。だから、曲だけ僕が選んで彼に渡して、考えてもらって、大会前日に必死に練習しました。

――良きライバルからの助けがあっての優勝だったわけですね。

宇佐美 そうですね。彼も『マッスルゲート福岡』の75キロ以下級とジュニアで優勝していたので、自分も負けられないという思いでした。あと、ライバルという意味で言うと、ジュニアクラスで2位だった森岡洸貴さん、3位だった前野良真さんたちはもともとアルバイト先が一緒なんです。トレーニングを一緒にすることもあって身体を見ていると、「自分、やばいなぁ」と思っていて。バルクだけで言ったら正直、負けていたと思います。ただそれがわかっていたからこそ、絞り切らないと絶対に勝てないなとも思っていたので、最後まで減量を頑張ることができました。

第2回へ続く)

宇佐美一歩(うさみ・かずほ)
2000年7月29日生まれ。2018年、大阪市立汎愛高校在籍時に「第13回全国高校生ボディビル選手権大会」で優勝。阪南大学に進学し、2019年、「第55回関西学生ボディビル選手権大会」で各部位賞およびベストポーザー賞含めた完全優勝を達成。「第54回全日本学生ボディビル選手権」では4位入賞。2020年、「マッスルゲート神戸」のボディビル部門にてジュニア(23歳以下)級、65キロ以下級の2階級制覇を達成した。

取材・文・写真/木村雄大

関西学生ボディビル王者・宇佐美一歩インタビュー【GKB応援団】