温野菜と生野菜、それぞれのメリットは?【桑原弘樹の栄養LOVE】




サプリメント実践的活用のスペシャリストである桑原弘樹さんが、サプリや栄養や肉体に関する疑問を解決する連載。第51回は、野菜の食べ方について。

■ビタミンCは、イメージほど熱で壊れない

いわゆる温野菜は野菜のカサが小さくなるので、結果的にたくさんの野菜を食べることができます。

サラダをそのまま食べようとすると、とくに葉物の野菜などは口に入れにくいなど物理的な理由も加わって、あまりたくさん食べることができません。

しかし、しゃぶしゃぶや鍋料理に入れる野菜はカサが減ってまとまってくれるので、相当量を食べることができるわけです。加えて体を温めてくれる、消化がよくなるなどのメリットもあるので、疲れ気味の時や食欲不振の時などは、とくに温野菜がおすすめです。

個別の野菜で温めたほうがいい、生がいいといった区別はあまり必要ないかと思いますが、βカロテンなどは茹でて食べるほうが吸収率が上がるため、温野菜向きと言えます。他にもカロテン類が豊富な、いわゆる緑黄色野菜は全般に温めるメリットがあります。ほうれん草に含まれるシュウ酸は鉄などのミネラルの吸収を阻害しますが、茹でることで水に溶け出すため温野菜向きと言えるかもしれません。

一方の生野菜のメリットは、何と言ってもその成分がそのままフレッシュな状態で摂取できるという点です。野菜に含まれる酵素などもそのまま摂取することができますし、ビタミン類も壊れることなくすべて取り入れることができます。

ただし、よく熱で壊されると言われるビタミンCに関しては、じつはそれほど壊れないことがわかっています。たしかに熱に弱いことは間違いないのですが、加熱時間的に通常の調理ではあまり問題がないのです。ただ、茹でる時間が長いと壊れなくとも水溶性のビタミンは流出してしまうので、あまり長時間茹でたりはしないほうがいいと思います。

新鮮な生野菜の場合は、野菜のおいしさがそのまま味わえることが最大のメリットかもしれません。おいしさの反面、温野菜に比べると消化には時間がかかりますから、胃腸が疲れている時などはあまり大量の生野菜は避けるといいでしょう。

レタス、キュウリ、トマト、白菜、大根は水分が多くカリウムリッチな野菜なので、あまり一度に生で食べると体を冷やすことになります。極端な量を一度に食べないようにしたほうがいいでしょう。


桑原弘樹(くわばら・ひろき)
1961年4月6日生まれ。1984年立教大学を卒業後、江崎グリコ株式会社に入社。開発、経営企画などを経て、サプリメント事業を立ち上げ、16年以上にわたってスポーツサプリメントの企画・開発に携わる。現在は桑原塾を主宰。NESTA JAPAN(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会 日本支部)のPDA(プログラム開発担当)。また、国内外で活躍する数多くのトップアスリートに対して、サプリメント活用を取り入れた独自のコンディショニング指導を行ない、Tarzan(マガジンハウス)など各種スポーツ誌の企画監修や執筆、幅広いテーマでの講演会など多方面で活躍中。著書に「サプリメントまるわかり大事典」(ベースボールマガジン社)、「私は15キロ痩せるのも太るのも簡単だ!クワバラ式体重管理メソッド」(講談社)、「サプリメント健康バイブル」(学研)などがある。プロフィール写真のタンクトップにある300/365の文字は、年間365日あるうち300回のワークアウトを推奨した活動の総称となっている。300日ではなく300回であることがポイントで、1日2回のワークアウトでも可。決して低くはないハードルだが、あえて高めの目標設定をすることで肉体の進化が約束されると桑原塾は考え、実践している。