美ボディコンテストに出場経験のあるケイト・ロータス選手が、格闘家としてデビューし、注目を集めている。10月31日には『DEEP JEWELS 30』でMMA(総合格闘技)の試合を行ない、強豪の藤田翔子を相手に善戦して評価を上げた。スタイルとルックス抜群の彼女は、なぜ闘う道を選んだのか? トレーニング理論とともに、天真爛漫(?)なキャラクター像にも迫った。
――格闘技WEB媒体でケイト選手のニュースが上がると、凄い反響があります。アクセス数も相当高かったりと注目度抜群ですが、逆にプレッシャーには感じませんでしたか?
ケイト:そ、そうなんです。『DEEP JEWELS 30』のリングで試合が決まったばかりの頃は、ヤフーニュースに取り上げてもらって、それを見た友達から凄く連絡がありました。最初は、『私、大丈夫かな、どうしよどうしよ』とあたふたしてしまったのですが、練習をやればやるほど、不安はなくなってリラックスして臨むことができました。試合に向けてうちのジムでは、ガッツリとスパーができる女子選手がいないので、他のジムに出稽古へ行き、女子選手とスパーしたらパンチでダウンを取ることが多く、短期間でも顔面打撃に慣れることもできたと思います。ちなみに会長からは「気持ちが強すぎて見た目と反して男っぽい」と言われます(笑)。気持ちは男の子っぽいですけど、じつは料理もできる女の子なんですよ(笑)。
――リングネームの“ケイト・ロータス”には、どういう意味があるのでしょうか。
ケイト:本名のケイトに、お母さんも私も好きな花の蓮(ロータス)を足してケイト・ロータスになります。ちなみに左腕に蓮の花のタトゥーを入れるぐらい好きなんです。苗字ですか? それは秘密です(笑)。
――ガクッ。ちなみになぜ蓮の花が、お好きなんですか?
ケイト:空手、柔道の格闘技歴があり、どれだけしんどい練習でも最後までやり抜いたら結果が必ず付いてきたので、私は泥水を吸って綺麗な花を咲かせている蓮と似ているな、と思って好きになりました。
――生き様が、リングネームに表れているんですね。空手と柔道は、それぞれいつから始めたのですか?
ケイト:5歳から小学6年生まで空手をやって、中学に進学して柔道を始めました。高校に入ってからは、何もやっていません。空手はお兄ちゃんが先にやっていて、送り迎えで親に付いていったのですが、とりあえず小さい頃はお兄ちゃんの真似事をしたかったので、やりたくなりました(笑)。柔道もお兄ちゃんがやり始めたので、私もやるようになりました。
――空手や柔道は、どんな結果を出されたのでしょうか?
ケイト:空手は小学4年生の時に西日本大会で優勝、小学5年と6年の時にそれぞれ全国大会へ出場していて、両方ともベスト8でした。柔道は県大会でベスト8です。
――そこまで結果を出しながら、高校は格闘技を続けていないんですか?
ケイト:ええ。裁縫に力を入れてドレスを作ったり、お料理に没頭していました(笑)。
――また、真逆な方向にシフトチェンジしましたね。まさか、それもお兄さんがやられていたからですか?
ケイト:違います(笑)。料理は母が和食屋をやっていたこともあって、私は小さい頃から包丁を握らされていて、高校に進学してからはそっちのお手伝いをしていけたらと思って料理に没頭していました。
――急に路線を変更して、物足りなさは感じませんでしたか?
ケイト:はい。そう感じて、高校1年生の夏にお母さんが通っていたスポーツジムのレッスンを受けるようになりました。高校卒業するまで、フィットネスジムに通っていましたね。
――MMAに挑戦しようと思ったのはなぜでしょう。
ケイト:出場しようと思っていたボディビルの大会に向けて減量のスピードを上げるために有酸素運動をしようと、今年3月にKING GYM KOBEに体験したのがきっかけでした。コロナの影響でその大会がなくなった時に、ジムでMMAを体験してめっちゃ楽しかったので、どうせならまたやろうと思って4月から入会しました。
でも4月、5月と自粛期間でジムは営業してなかったのですが、選手と選手志望者だけジムに集まって代表がミットを持ってくれました。
本格的に練習を始めたのは6月からなんです。本当は、1、2年はちゃんと練習して試合に出たかったのですが、会長と親しい現DEEPウェルター級チャンピオンの住村竜市朗選手がジムに来た時に、私の練習風景を見て『KING GYM KOBEにはこんな選手がいるよ』とDEEP事務局の方にお話してくれました。
そうしたらオファーが来たので、試合まで5ヵ月しか準備期間はなかったのですが、そこから代表とマンツーマンの急ピッチで(笑)。休むことなくジムの3部練や、SUN-RISE BOXING GYMさんでボクシングの特訓を詰めに詰めまくってやりました(笑)。もう男子のプロ練と同じメニューをやってしんどすぎて途中で涙が何回出たことか……。
――途中で逃げ出そうとは思いませんでしたか?
ケイト:一切ありません。私は“こうなりたい”と思っていることに対して、同じ熱量で会長は指導してくださるので、それを拒否するということは凄く失礼なことなので。人間としても、それはちゃうやろ!と思ってしまうので、言われたことに対しては100%や120%で返してきました。
――空手や柔道のバックボーンがあるとはいえ、そんな短期間で仕上げてMMAのアマチュアの試合に出る選手はなかなかいないかと思います。
ケイト:そうですね。空手や柔道をやってきて勝負事が好きで、大舞台で多くの人に注目されて見てもらうことも好きなんです。お兄ちゃんが今、社会人で柔道をやっていて負けたくないというのも頑張れる理由の1つです。そういうことで、短期間という状況だったために誰よりも追い込んできましたし、前日計量ではプロの選手よりも身体は一番絞れていたと思います。減量は食事を食べないといったものではなかったので、前日計量時も元気でコンディションよく仕上げられました。
――初のMMA挑戦で強豪の藤田選手と闘いましたが、短期間で仕上げたような選手には見えない動きで衝撃を受けました。事前に会長からお話を聞いたところ、「この練習が続いたら間違いなく大きな舞台に出られる、ポテンシャルはめちゃくちゃ高い」と言われていました。
ケイト:今後はもっと詰めた練習して、もっと強くなるので、もっと期待していてほしいです。
後編に続く。
取材&撮影・安村発
ケイト・ロータス
KING GYM KOBE所属。MMAファイター。幼少の頃から空手と柔道を学び、大会で結果を残してきた。19歳でボディビルの世界へ入り、美ボディコンテストで8位となった。減量のために始めたMMA(総合格闘技)にはまり、2020年10月31日『DEEP JEWELS 30』で格闘家デビューを果たした。
12・19『DEEP JEWELS』で早くもプロデビューが決定!
アマチュアの試合で異例の注目を浴びたケイト・ロータス選手のプロデビュー戦が決まった。12月19日(土)、東京・新宿FACEで開催される『skyticket Presents DEEP JEWELS 31』で熊谷麻理奈選手と対戦する。WSR札幌所属の熊谷選手は、KINGレイナ選手にキックルールで勝利を収めた強豪中の強豪。プロデビュー戦の相手としては、かなり厳しいマッチメイクだが、期待の裏返しだろう。”美ボディファイター”ケイト選手がプロデューを勝利で飾れるか要チェックだ!!