”世界を股にかける治療家”Ken Yamamoto(ケン・ヤマモト)の連載『腰痛ゼロ革命』も第7回を迎えてまさかの急展開。この取材の3ヵ月前、Ken先生が新たな治療法“一本指整体”をスタートさせて、次々と腰痛に悩む患者を治しているという。Ken先生の編み出した「Ken Yamamotoテクニック(KYT)」が日々進化していることは、Ken先生の発信するSNSを拝見していて分かっていたが、ここに来てまったく新たな治療法を始めるとは……。Ken先生の進化が止まらない‼
某月某日、某所の「腰痛研究所」で日々、腰痛に悩む患者と向き合うKen先生に直撃インタビューを敢行した。
――Ken先生、YouTubeの治療映像を拝見しました! 山梨学院大学柔道部の学生たちの腰痛を次々と治していましたね。
「そうですか(笑)。どうでした?」
――一言でいうとショックでしたよ。次々と痛みを抱える学生を治していく「30人組手」なんて初めて拝見しました。あれが、今、Ken先生が取り組んでいる「一本指整体」なのですか?
「そうなんです(ニッコリ)」
「【秒速で治す】山梨学院大学柔道部の腰痛を整体1 治らなきゃ整体じゃない。ノーカットで押忍」
――まず、柔道部員にどこが痛いかを丁寧にヒアリングしてから、先生が実際に体を触ります。仰向けに寝た状態で、足や股関節、腰を動かして、その動きを見ながら、どこで痛みを感じるか、その痛みの強弱を調べて、体の状態を把握していますね。
「はい、はい。そうですね」
――そこまではKen先生がいつもされている治療で、我々も実際に見てきましたが、ここからが違いました。仰向けに寝た患者さんのへその辺りを人差し指で数秒間押す。そうして「OK」とKen先生が言い、先ほどとまったく同じように足を動かし、腰をひねらせ、立ち上がっておじぎ、上体そらしをさせると「痛くないです」と。
「そうなんですよね」
――これまで取材したことを元に、考えたことを言いますね。
「はい(笑)」
――まず、Ken先生が体に触り、手足を動かすことで、患者さんにどの箇所が、どれくらい痛むのかをはっきりと意識させる。
ゆがみを自覚させてから、一本指で体の中心部を押し『体の中心部』を意識させると、体は自然と本来の正しい位置「アナトミカルポジション」に戻っていく。それで痛みは無くなる、と。いかがでしょう?
「そうではないんですよね(微笑)。きっかけは、熊本豪雨で球磨川の大洪水があって、家が流されたり、泥をかぶってしまった地域があるんです。そのボランティアに行ったことなんですよ。
軒下まで泥が溜まってしまっている家はおばあちゃんが住んでいて、そういう力仕事は出来ないんですよね。それで、僕らボランティアが四つん這いにもなれない狭い空間に体を入れて、うつ伏せで泥を掻き出す作業をするわけです。その時、不意に『降りてきた』んですよ」
――降りてきた?
「オカルトだと笑ってもらって構いませんが、おばあちゃんの家の軒下にもぐって作業している時、急にふっと浮かんだことがあるんです。
『キリストは神の子だから奇跡を起こせたんだよな。でもキリストの弟子も出来たんだから、僕も出来るんだ』と急にイコールになったんですよ。
その時に『指を一本置いて、優しさを入れれば治る』というイメージが出てきたんです。それで試してみたら、痛みが取れることが分かったんですよね」
――優しさ、ですか。
「治療家は、優しい人がならなければダメな職業だと思います。体に痛みを抱えて、辛い思い、苦しい思いをしている人を何とか治してあげたい。そういう優しい気持ちがない人は、治療家になってはいけないんです。
そのことを、優しい気持ちでボランティアをしていたら『優しさの治療』に気がついたんです」
――それが一本指整体なんですか。
「はい」
――以前の取材で、Ken先生は『痛む箇所を触ることで痛みが取れる』というお話を少しされていたんですよね。
「そうですね。『触ると痛みが取れる』という感覚は、以前から持っています。幽体離脱の話はしましたっけ?」
――幽体離脱ですか!? いえ、まだお聞きしてないです。
「スペインのバルセロナに幽体離脱の儀式があるんです。ペルーのシャーマンが世界各地で希望者に幽体離脱をさせているんですけど、スペインの中でも出来る土地と出来ない土地があるんです。
それで、僕は3年前から年に1、2回参加して『向こうの世界』に行って色々と習ってきたんですよ。もう5回行っていて、今年はコロナで行けなかったんですけど」
――そうなんですか。
「そうやって学ぶ中で『触ると治る』という感覚を持つようになったんですね。そうしたら、熊本でボランティアをしてる時に『降りて』きて、治すイメージがはっきりと見えたんです。分かりやすく言うと、体に痛みのある人に僕は一本指で『優しさ』を注入しているんですね」
――それで痛みが取れて、体が治ってしまうと。
「治ってしまうんです。3週間前から始めて、いろんな人に追跡調査をしているんですけど、山梨学院大学の30人の学生たちも『痛みは再発してない』という人がほとんどです。
もちろん、中には一本指だけでは治らない人もいます。やはり関節が機能的に壊れてしまっているような人は、そこの治療をしなければいけない、ということなので」
――指を置く位置は決まっているんですか。
「それが決まってないんですよね。山梨学院大学の柔道部では、へその位置に置きましたけど、最近は眉間の辺りに指を置いています」
「これも、触らなくてもいけるんじゃないかな、と思っているんですけど。要は、ストレッチのような強い刺激を与えると、反動があります。一本指整体は触っているだけですから、刺激の量が少なくて、だから痛みが戻らないんじゃないか、と考えているんですけど」
――なるほど。イメージは分かりましたが、信じない人は多いかもしれませんね。
「これも新しいKen Yamamoto テクニックになるな、と思って、日々研究しているところなんです」
ここで、この日、モデルをお願いした編集者のNさんに実際に「一本指整体」を受けてもらうことに。Nさんは通常、1日中パソコン作業をしており、腰に慢性的な痛みを抱えている。
「普段から右の首、肩、背中、そして腰にズーーーンと重いモノを感じています」
かなり酷い腰痛である。
さて、Ken先生はどうやって治したのか。
(次回に続く)
取材・撮影:茂田浩司
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Ken Yamamoto
東京都出身。東海大学体育学部卒業。中学・高等学校保健体育科教員1級免許取得。23歳で治療院開業。27歳で柔道整復師国家資格取得し、整骨院を開業。30歳で目黒区医師会立看護学校卒業し、免許取得。仙骨専門治療院、整形外科、総合病院整形外科、整骨院、介護センターを経て、整骨院開業。現在は、年間300日以上、海外を中心に解剖学を基に作られたKenYamamotoテクニック(KYT)のセミナー講義並びに大学の授業などを行ない後進の育成にも余念がない。腰痛患者さんの施術を招かれる各国で行なっている。KYTは現在40カ国で使われているテクニックとなっている。