糖質と脂質、太りやすいのはどっち?【桑原弘樹の栄養LOVE】




サプリメント実践的活用のスペシャリストである桑原弘樹さんが、サプリや栄養や肉体に関する疑問を解決する連載。第63回は、あまり摂り過ぎてはいけないと言われるものの代表格である、「糖質」と「脂質」について。

■短期間で痩せるには、糖質制限のほうが効果的

糖質も脂質も摂り過ぎた分は脂肪に変わってしまうので根本的にはあまり変わりませんが、糖質は使われやすいカロリーであるのに対して、脂質は貯蓄型のカロリーという点において脂質のほうが太りやすいと言えます。

また、同じ1gであっても、糖質が4キロカロリーなのに対して脂質は倍以上の9キロカロリーもありますから、知らず知らずにカロリーを摂取してしまうという点においても、脂質は太りやすいです。

糖質はそのものを摂らないと決めればかなり制限できますが、脂質は大概のタンパク質に含まれているため、ダイレクトに摂ることをしなくても摂取してしまうという問題もあります。

その一方で、糖質は食の中心的な存在であるため、実際はなかなか制限することへのハードルが高い栄養素です。中毒とまではいかなくとも、血糖値を左右する栄養素だけに糖質を欲してしまうシーンはよくあります。お酒の後のお茶漬けやラーメンなども、その一例と言えるでしょう。

次にどちらを制限した方が痩せていくかですが、制限したカロリーが大きいほうが痩せられるという意味で考えれば、最終的には引き分けになります。

ただし、どちらが先に効果が出るかという点においては、糖質が先に出てきます。つまり、短期間でとりあえず痩せようという場合は、脂質を制限するよりも糖質を制限するほうが効果的ということになります。

脂質はカロリーが高いと書きましたが、通常の食生活で言えば、トータル的には糖質からのエネルギー摂取量のほうが圧倒的に大きいという点も関係しているでしょう。とくに、夜の糖質制限は効果的と言えます。

また同じ糖質でも、GI値(糖質の吸収スピードを指数化したもの)の高い低いや単純炭水化物か複合炭水化物かによって大きく異なりますし、脂質に関してもMCT(中鎖脂肪酸)のように貯まりにくい脂質もあります。


桑原弘樹(くわばら・ひろき)
1961年4月6日生まれ。1984年立教大学を卒業後、江崎グリコ株式会社に入社。開発、経営企画などを経て、サプリメント事業を立ち上げ、16年以上にわたってスポーツサプリメントの企画・開発に携わる。現在は桑原塾を主宰。NESTA JAPAN(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会 日本支部)のPDA(プログラム開発担当)。また、国内外で活躍する数多くのトップアスリートに対して、サプリメント活用を取り入れた独自のコンディショニング指導を行ない、Tarzan(マガジンハウス)など各種スポーツ誌の企画監修や執筆、幅広いテーマでの講演会など多方面で活躍中。著書に「サプリメントまるわかり大事典」(ベースボールマガジン社)、「私は15キロ痩せるのも太るのも簡単だ!クワバラ式体重管理メソッド」(講談社)、「サプリメント健康バイブル」(学研)などがある。プロフィール写真のタンクトップにある300/365の文字は、年間365日あるうち300回のワークアウトを推奨した活動の総称となっている。300日ではなく300回であることがポイントで、1日2回のワークアウトでも可。決して低くはないハードルだが、あえて高めの目標設定をすることで肉体の進化が約束されると桑原塾は考え、実践している。