「カロリー制限」と「糖質制限」の違いは?【桑原弘樹の栄養LOVE】




サプリメント実践的活用のスペシャリストである桑原弘樹さんが、サプリや栄養や肉体に関する疑問を解決する連載。第65回は、ダイエットでよく耳にする「カロリー制限」と「糖質制限」の違いをわかりやすく解説。

■カロリー制限は、糖質か脂質のどちらかを制限する

「カロリー制限」も「糖質制限」もダイエットや減量の際に使われますが、その役割や考え方は少し異なります。

カロリー制限は三大栄養素のどれかに限らず、トータルのカロリーを抑えるものです。一般的にタンパク質を抑えるという発想はありませんから、糖質か脂質かのどちらかの制限になります。たまに特殊な減量方法としてその双方を制限するというやり方もありますが、一般的にはおすすめできません。

糖質制限はその名の通り、糖質を制限することです。カロリー制限の中のひとつが糖質制限という位置づけとなります。

最近は糖質制限ダイエットが流行っていますから、糖質が悪という印象を持つ人がいるかもしれませんが、あくまでも過剰な糖質が悪なのであって、糖質は体にとってエネルギー源の中心です。糖質制限ダイエットの場合は脂質とタンパク質をしっかりと摂取して、エネルギーを脂質からつくられるようにしていく方法です。

持久系の競技などでは、ファットアダブテーションというやり方があります。

これもソフトな方法からハードな方法までいくつかありますが、糖質を制限した状態で脂質をしっかりと補給しておき、そこに有酸素運動を加えるなどして、より積極的に脂質を使うように仕向けるやり方です。

目的はダイエットというよりは、持久力アップになります。その際は中鎖脂肪酸(MCT)を活用するとより効率的なのと、極端な糖質カット(断糖)は心身への負担が大きいので、夕方以降の糖質をカットした状態で(15時間ほどの断糖)、朝にMCTを摂取して軽く有酸素運動をするなどであれば、比較的負担が少ない状態で脂質の活用を促進していけます。

どちらが痩せるかについては、そのやり方にもよります。比較的早く効果が出る糖質制限に対して脂質制限は緩やかですが、最終的にはどちらも似たような効果になります。いずれの場合も、タンパク質を制限しないように気をつけることが大切です。


桑原弘樹(くわばら・ひろき)
1961年4月6日生まれ。1984年立教大学を卒業後、江崎グリコ株式会社に入社。開発、経営企画などを経て、サプリメント事業を立ち上げ、16年以上にわたってスポーツサプリメントの企画・開発に携わる。現在は桑原塾を主宰。NESTA JAPAN(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会 日本支部)のPDA(プログラム開発担当)。また、国内外で活躍する数多くのトップアスリートに対して、サプリメント活用を取り入れた独自のコンディショニング指導を行ない、Tarzan(マガジンハウス)など各種スポーツ誌の企画監修や執筆、幅広いテーマでの講演会など多方面で活躍中。著書に「サプリメントまるわかり大事典」(ベースボールマガジン社)、「私は15キロ痩せるのも太るのも簡単だ!クワバラ式体重管理メソッド」(講談社)、「サプリメント健康バイブル」(学研)などがある。プロフィール写真のタンクトップにある300/365の文字は、年間365日あるうち300回のワークアウトを推奨した活動の総称となっている。300日ではなく300回であることがポイントで、1日2回のワークアウトでも可。決して低くはないハードルだが、あえて高めの目標設定をすることで肉体の進化が約束されると桑原塾は考え、実践している。