サプリメント実践的活用のスペシャリストである桑原弘樹さんが、サプリや栄養や肉体に関する疑問を解決する連載。第77回は、ボディビルダー顔負けの見事な肉体を誇る新日本プロレス・棚橋弘至選手の筋肉の特徴について。
■棚橋選手は「続ける天才」であり「効かせる天才」
筋肉に才能は関係ないと断言したいところですが、実際は腹筋の彫りが深い人や、たいしてトレーニングをしていなくてもカーフが発達している人を見受けますから、才能ではないまでも身体的な特徴は影響していると思います。
また、速筋と遅筋のバランスなども、発達しやすい人とそうでない人の違いになっているかもしれません。ただし、仮に恵まれた特徴を持っていたとしても、日々に行なうトレーニングや食事の労力は変わりません。むしろ、それを継続する力を持っている人を筋肉の才能と呼ぶほうが正しいかもしれません。
棚橋選手の特徴は何と言っても、あの彫りの深い腹筋でしょう。
裸になった時、体の一番真ん中にあるのが腹筋ですから、そこの見映えはかなり有利だと思います。ただし、彼もそれ以外の一つひとつの筋肉に関しては、まさに続ける才能を発揮してたゆまぬ努力によって身につけていきました。私はチーム300と言って年間300回のワークアウトを提唱しているのですが、いち早くそれに賛同して毎年続けているひとりが棚橋選手です。
継続する才能以外にもうひとつ、彼の才能にも近い武器を挙げるならば、効かせる天才と言えるかもしれません。例えば私と一緒にトレーニングをする際も、ケガなどがない場合はふたりとも同じ重量でやります。これは私がすごいのではなく、彼が私の重量に合わせているのです。それでも高重量を扱う以上にしっかりと効かせることができるため、決してウエイトトレーニングの質が落ちたりはしません。
また、新しいメニューや種目を教えてあげると、それを自分のモノにする時間も圧倒的に早いです。そのあたりも才能的なものを感じたりします。“100年に一人の逸材”は、続ける天才であり効かせる天才と言えるかもしれません。
桑原弘樹(くわばら・ひろき)
1961年4月6日生まれ。1984年立教大学を卒業後、江崎グリコ株式会社に入社。開発、経営企画などを経て、サプリメント事業を立ち上げ、16年以上にわたってスポーツサプリメントの企画・開発に携わる。現在は桑原塾を主宰。NESTA JAPAN(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会 日本支部)のPDA(プログラム開発担当)。また、国内外で活躍する数多くのトップアスリートに対して、サプリメント活用を取り入れた独自のコンディショニング指導を行ない、Tarzan(マガジンハウス)など各種スポーツ誌の企画監修や執筆、幅広いテーマでの講演会など多方面で活躍中。著書に「サプリメントまるわかり大事典」(ベースボールマガジン社)、「私は15キロ痩せるのも太るのも簡単だ!クワバラ式体重管理メソッド」(講談社)、「サプリメント健康バイブル」(学研)などがある。プロフィール写真のタンクトップにある300/365の文字は、年間365日あるうち300回のワークアウトを推奨した活動の総称となっている。300日ではなく300回であることがポイントで、1日2回のワークアウトでも可。決して低くはないハードルだが、あえて高めの目標設定をすることで肉体の進化が約束されると桑原塾は考え、実践している。