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スポーツによって必要な筋肉量は違う?【桑原弘樹の栄養LOVE】

サプリメント実践的活用のスペシャリストである桑原弘樹さんが、サプリや栄養や肉体に関する疑問を解決する連載。第79回は、スポーツのジャンルによって必要な筋肉量に違いはあるのか?という疑問について。

■筋肉をつけるか、体の使い方でトルクを生み出すか

極端な比較ですが、やり投げには大きな筋肉が必要ですし、ゴルフはそれほど必要としませんから、ジャンルによって必要な筋肉量は違うと言えます。

私たちの肉体と機械の大きな違いのひとつは、回転運動ができるか否かです。モーターのような回転運動はエネルギーの消費効率が非常にいいので、車をはじめとして多くの機械はこの回転運動を利用しています。しかし、私たちの体は筋肉や神経がつながっているため、残念ながら完全な回転運動をする機能が備わっていません。

もし車の車輪のように回転して走る生き物がいれば地上最速の生き物となるでしょうし、プロペラのように飛べる鳥がいれば、最速・最長の飛行ができることになるでしょう。実際にはそれができないから、機械にはスピードも距離も燃費(スタミナ)も敵わないわけですが、さまざまな競技でのパフォーマンスはこの回転運動が重要な役割をはたしています。完全な回転はできませんが、回転に近い動きが求められるのです。

野球を例にとっても、バットを振る、ボールを投げる、走る、などは回転運動から生まれる力で行なっています。回転運動による出力(加速)は、トルク×回転数によって大きくなりますので、ひとつはトルクを大きくすることがポイントとなります。トルクとは聞き慣れているようで、いまひとつわかりにくい言葉かもしれませんが、簡単に言えばねじる力のことです。このねじる力に回転数(スピード)が掛け算されることで、大きなパフォーマンスの土台となるわけです。

問題は、このトルクを生み出す方法です。単に筋肉をつければトルクが大きくなるというわけではないからです。野球でも筋トレを一切せずに体の使い方やコアトレなどで、一流のパフォーマンスを発揮している選手は多々います。一方で、筋肉をつけることでパフォーマンスを上げる選手も当然います。

トルクを大きくする方法は大きく分けてふたつあり、ひとつは体の使い方を上手にしていくやり方です。もうひとつが筋肉をしっかりとつける方法です。競技によって、どちらのトルクへの依存度が高いかが分かれているのです。

顕著な例を挙げればゴルフです。ゴルフは技術やメンタルの要素が大きく、必ずしも筋肉を大きくする必要がないスポーツの代表と言えるかもしれません。それは筋肉よりも、体の使い方によってトルクを大きくして回転運動を行なっているからなのです。

この比率は競技によって異なります。正確には、競技の中でもそれぞれの動きによって異なるわけですが、その競技に大きな影響を与える動きがどちらに依存するトルクであるかによって、筋肉の必要度合いが変わってくるということでもあります。

野球という競技の場合、さまざまな複雑な動きがありますが、シンプルにバットを振るとかボールを投げるという動作に関して言えば、ざっと80%が体の使い方によってトルクを大きくしているそうです。つまり筋肉に頼るのではなく、体の使い方によって出力を上げる競技ということになります。実際、筋トレをほとんどやらない一流選手がいるのは、そのためです。しかし逆に考えれば、20%は筋肉によるトルク、つまり筋肉によって出力を大きくしているわけですから、残りの20%は伸びしろと言ってもいいのではないでしょうか。


桑原弘樹(くわばら・ひろき)
1961年4月6日生まれ。1984年立教大学を卒業後、江崎グリコ株式会社に入社。開発、経営企画などを経て、サプリメント事業を立ち上げ、16年以上にわたってスポーツサプリメントの企画・開発に携わる。現在は桑原塾を主宰。NESTA JAPAN(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会 日本支部)のPDA(プログラム開発担当)。また、国内外で活躍する数多くのトップアスリートに対して、サプリメント活用を取り入れた独自のコンディショニング指導を行ない、Tarzan(マガジンハウス)など各種スポーツ誌の企画監修や執筆、幅広いテーマでの講演会など多方面で活躍中。著書に「サプリメントまるわかり大事典」(ベースボールマガジン社)、「私は15キロ痩せるのも太るのも簡単だ!クワバラ式体重管理メソッド」(講談社)、「サプリメント健康バイブル」(学研)などがある。プロフィール写真のタンクトップにある300/365の文字は、年間365日あるうち300回のワークアウトを推奨した活動の総称となっている。300日ではなく300回であることがポイントで、1日2回のワークアウトでも可。決して低くはないハードルだが、あえて高めの目標設定をすることで肉体の進化が約束されると桑原塾は考え、実践している。