夏の運動とマスク着用を改めて考える【佐久間編集長コラム「週刊VITUP!」第165回】




VITUP!読者の皆様、こんにちは。日曜日のひととき、いかがお過ごしでしょうか? 天気のすぐれない日が続き、気温と湿度の上昇とともにトレーニング後の汗が止まらない日々も続いております。

 

先週末は子どもの体育祭を見に行ってきました。昨年はコロナの影響で中止となり、今年もコロナが収まっていないことから開催が危ぶまれましたが、無事に行なわれて子どもたちにとっては良い思い出ができたことと思います。

 

しかしながら、体育祭はコロナ以前とは様変わりしていました(学校による程度の差はあると思います)。まず開会式、閉会式は全員がマスクを着用。飛沫防止のため、運動会の定番ソング「若い力」の合唱も行なわれません。声出しという部分では、体育祭の見どころの一つである応援合戦も、声を出せる人数に制限がかけられ、使いまわしになる応援用のポンポンは使用が禁止されるなど、例年よりもおとなしいものとなっていました。

 

そのほか、競技時のマスク着用については各自の判断に委ねられ、自分が競技に出るときは外しても良いということでした。持久走やリレーに出場する選抜選手はマスクを外していたものの、全員が参加する100m走では半分以上の生徒がマスクを着用。暑いし、苦しいし、ちょっとかわいそうな印象も受けました。ただ、安心・安全な体育祭開催という意味では、仕方のないこと。成功モデルをつくり、次に生かしていくことが何より大事でしょう。

 

子どもの活躍を動画に収めたい親としては、マスクで顔の判別がつきづらくなるのは、結構な問題だったことも追記しておきます。

 

さて、これから暑い季節になってくると、マスクを着用しての運動は熱中症のリスクが大きくなってきます。そこで改めて運動時のマスク着用について考えてみたいと思います。

多くの人が行なっているであろう、ランニングやウォーキングでは基本的にはマスクは必要ないと考えられます。インフルエンザなど感染症の飛沫については、古くからCDC(米国疾病予防管理センター)が6フィート(約2m)離れていれば大丈夫というガイドラインを示しています。これは当然、コロナにも当てはまります。何事もリスクがゼロと断言することはできないものの、人混みを走らない場合には、マスクの着用なしでランニングをしても大きな問題はないと考えていいでしょう。

 

テニスやバドミントンなど、ネットを挟んで行なう競技の場合も、一緒にプレーする人との距離があるため、ランニングと同様の理由で飛沫のリスクは低いと考えられます。これからの季節は熱中症のことも考慮しながら、マスクを着用せずにできる種目なら、マスクをしないほうがいいというのが個人的な考えです。

 

また、マスクだけでなく、ボールなど器具を共用で使用する場合は、モノからの感染が気になる人もいると思います。ジムでは自分がバーベルを使用する前に、神経質すぎるくらい消毒をする人がいるのも事実です。これに関してはモノの消毒に躍起になるよりも、使用後に自身の手指を消毒することのほうが大事だと思います。

 

いろいろなモノを触ることを恐れていたら何もできなくなってしまいます。手からウイルスが侵入することはないので、基本的に手にウイルスが付着してもそれ自体は問題ではありません。その手で粘膜を触るのが危険なので、モノを消毒するよりは、不特定多数の人が使用するものを触った後には手の消毒を徹底する。これがしっかりできていれば、恐れる必要はありません。

 

コロナ禍の運動で気をつけるポイントは、大きく言えば3つだけです。距離をとること。距離が近くなる場合はマスクをすること。手洗い、手指の消毒をすること。いろいろな説が出てきて、それらを参考にするのも良いですが、感染症に関する対策は古くから同じです。必要以上に自分にも人にもナーバスにならず、運動で心身の健康を保ちましょう。

佐久間一彦(さくま・かずひこ)
1975年8月27日、神奈川県出身。学生時代はレスリング選手として活躍し、高校日本代表選出、全日本大学選手権準優勝などの実績を残す。青山学院大学卒業後、ベースボール・マガジン社に入社。2007年~2010年まで「週刊プロレス」の編集長を務める。2010年にライトハウスに入社。スポーツジャーナリストとして数多くのプロスポーツ選手、オリンピアン、パラリンピアンの取材を手がける。