ウナギが夏バテに効くと言われる理由は?【桑原弘樹の栄養LOVE】




サプリメント実践的活用のスペシャリストである桑原弘樹さんが、サプリや栄養や肉体に関する疑問を解決する連載。第109回は味のよさだけではなく、栄養価が高いことでも知られるうなぎについて。

■ビタミンAをはじめ、EPAも高含有

たしかに、夏バテにウナギというのは違和感がありませんよね。

子どもの頃からの擦り込みなのか、土用の丑の影響なのか、夏場の暑い時にむしろ食べたいと思うくらいです。しかし土用の丑にウナギを食べる習慣は、江戸時代に蘭学者の平賀源内が夏場にウナギの売上が落ちて困ると相談されたことをきっかけに考案した、ある種の販売促進策、コピーライティングだというのですから、そのセンスは何百年も色褪せず効果を発揮し続けていることになります。

いやぁ、恐るべし平賀源内です。一方で、万葉集などにも夏バテにはウナギをおすすめするという歌があるそうなので、あながちイメージだけではなく昔からウナギを食べて疲労回復させるというのは知られていたのかもしれません。

ウナギの栄養価で特筆すべきは、何と言ってもビタミンAでしょう。一尾あたりで推奨量の23倍も摂れるのですから、相当な高含有です。ただ、高含有過ぎて耐用上限値にも近い数値になってしまいますから、毎日食べるというよりは晴れの日の食べ物として、疲れた時の贅沢食くらいの位置づけがいいかもしれません。ビタミンA以外にもビタミンB1B2が豊富ですから、こちらも夏バテ対策として有効な栄養素です。もしかすると昔の人は、今でいうビタミン注射を打つ感覚で食べていたのかもしれませんね。

また、日常的に不足がちで、摂取が難しいω-3系の不飽和脂肪酸も豊富です。一尾でDHAEPAともに一日に摂りたい量を十分に摂取できますから、貴重な食材です。とくにEPAは血液サラサラやダイエットにも効果がありますので、EPAも高含有という点も注目です。

このように、疲労回復に効果的な栄養素がかなりの高含有であることに加え、暑くても食欲が湧いて食べられるという点においても、夏バテにはうってつけの食材と言えるかもしれません。


桑原弘樹(くわばら・ひろき)
1961年4月6日生まれ。1984年立教大学を卒業後、江崎グリコ株式会社に入社。開発、経営企画などを経て、サプリメント事業を立ち上げ、16年以上にわたってスポーツサプリメントの企画・開発に携わる。現在は桑原塾を主宰。NESTA JAPAN(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会 日本支部)のPDA(プログラム開発担当)。また、国内外で活躍する数多くのトップアスリートに対して、サプリメント活用を取り入れた独自のコンディショニング指導を行ない、Tarzan(マガジンハウス)など各種スポーツ誌の企画監修や執筆、幅広いテーマでの講演会など多方面で活躍中。著書に「サプリメントまるわかり大事典」(ベースボールマガジン社)、「私は15キロ痩せるのも太るのも簡単だ!クワバラ式体重管理メソッド」(講談社)、「サプリメント健康バイブル」(学研)などがある。プロフィール写真のタンクトップにある300/365の文字は、年間365日あるうち300回のワークアウトを推奨した活動の総称となっている。300日ではなく300回であることがポイントで、1日2回のワークアウトでも可。決して低くはないハードルだが、あえて高めの目標設定をすることで肉体の進化が約束されると桑原塾は考え、実践している。