サプリメント実践的活用のスペシャリストである桑原弘樹さんが、サプリや栄養や肉体に関する疑問を解決する連載。第111回は、にわかに噂を耳にする納豆と痛風の因果関係について。
■「納豆=痛風」は少し飛躍した考え方
納豆は健康食品の代表格であり、また価格もお手頃ですから、ボディメイクや健康維持にはうってつけの食材と言えますよね。材料となっている大豆が畑のお肉と言われるように、納豆は高タンパクでありアミノ酸組成も優れています。また、脂質は含まれるものの意外にもコレステロールはゼロであり、栄養的な価値とは別にナットウキーナゼのような機能性成分も豊富です。
ただ、これまた意外にもプリン体はしっかりと含まれています。プリン体はDNAなど核酸の構成成分で、余剰となった分は尿酸として処理されています。ところが処理されきれなかった尿酸が過剰になってくると結晶化して、やがて関節などに溜まってしまい、さらにはそれが尿酸塩結晶として関節液に入ってしまうことで、体内ではそれを異物とみなし、白血球が猛烈にそこを攻撃し始めます。
結果として、そこから炎症物質が生まれていくというのが痛風を発症する一連の流れです。つまり痛風の原因のおおもとを辿ると、プリン体の過剰が原因ということになるのです。しかし遺伝子を持っているものにはすべてプリン体が含まれていますし、プリン体自体はその大半は体内でつくられてしまうもので、食べ物として取り入れる比率は2割程度と言われています。
結論として納豆を食べることで痛風になるというのは、少し飛躍した考え方だと思います。問題は「食べ過ぎる」という部分の程度がどの程度なのかです。
以前、納豆ダイエットなるものが一時的に流行ったことがありますが、朝から晩まで納豆だけを食べるという、少々奇妙なダイエットなのですが、そうなると納豆からのプリン体の量も無視はできなくなってきます。納豆1パックは50g程度かと思いますが、そこに含まれるプリン体は60mgほどあります。じつはこれは同じグラム数の牛肉よりも多い量ですから、一日に納豆ばかりを何パックも食べるというのはあまりおすすめできません。日々食べるのであれば、1~2パック程度が常識的な量ではないでしょうか。
桑原弘樹(くわばら・ひろき)
1961年4月6日生まれ。1984年立教大学を卒業後、江崎グリコ株式会社に入社。開発、経営企画などを経て、サプリメント事業を立ち上げ、16年以上にわたってスポーツサプリメントの企画・開発に携わる。現在は桑原塾を主宰。NESTA JAPAN(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会 日本支部)のPDA(プログラム開発担当)。また、国内外で活躍する数多くのトップアスリートに対して、サプリメント活用を取り入れた独自のコンディショニング指導を行ない、Tarzan(マガジンハウス)など各種スポーツ誌の企画監修や執筆、幅広いテーマでの講演会など多方面で活躍中。著書に「サプリメントまるわかり大事典」(ベースボールマガジン社)、「私は15キロ痩せるのも太るのも簡単だ!クワバラ式体重管理メソッド」(講談社)、「サプリメント健康バイブル」(学研)などがある。プロフィール写真のタンクトップにある300/365の文字は、年間365日あるうち300回のワークアウトを推奨した活動の総称となっている。300日ではなく300回であることがポイントで、1日2回のワークアウトでも可。決して低くはないハードルだが、あえて高めの目標設定をすることで肉体の進化が約束されると桑原塾は考え、実践している。