毎日摂ったほうがいい食べ物やサプリメントは?【桑原弘樹の栄養LOVE】




サプリメント実践的活用のスペシャリストである桑原弘樹さんが、サプリや栄養や肉体に関する疑問を解決する連載。第113回は、健康を維持するために毎日摂ったほうがいい食べ物やサプリメントは何?という疑問について。

■コエンザイムQ10は補充する価値がある

これは年齢やライフスタイルによって変わってくるかもしれませんね。たとえば若い頃であれば、体内で十分に合成されるものは優先順位が下がりますが、加齢とともに必要性が増してきます。グルコサミンやカルニチンなどはその類と言えます。

また必須アミノ酸のように体内で合成されないものは、自ずと摂取の優先順位が高くなりますが、これも少し発想を変えてみて、なぜ体内で合成されないのだろうかを考えてみましょう。すべてが体内で合成されるようになると体内の仕組みが複雑になり過ぎるから、容易に取り入れられるものは外注に出した、という考え方も成り立つのです。肉や豆を食べれば大概の必須アミノ酸が手に入り、野菜や果物からはビタミンが容易に摂取できるという発想です。

そういった考え方も含めて、私たちの体は一大代謝ネットワークが出来上がっているのです。このネットワークの中で、どこがネックになるのかを考えてみた時、年齢の影響も大きいのですが、私はコエンザイムQ10ではないかと思うようになってきました。おおもとの材料が三大栄養素として、それが最終的にATP(すべての植物、動物および微生物の細胞内に存在するエネルギ分子)をつくり上げるまでの一連の流れの中で、さまざまな栄養素や成分が関与していきます。

コエンザイムQ10は必要不可欠なため体内で合成されるものですが、じつは20歳あたりからその合成能力に陰りが見え始めるなど、早々にブレーキがかかっていきます。しかしコエンザイムQ10を抜きにミトコンドリア内ではATPはつくられませんから、これは多少無理をしてでも補充していく価値がある成分ではないでしょうか。実際、私もこの必要性を感じ始めたのは50代になってからでした。それまではもっとプラス思考のサプリメントに関心が向いていましたが、加齢とともに代謝の総仕上げとして不可欠であることに気がつきました。

コエンザイムQ10がATPという最終製品に近い川下だとするなら、川上のサプリメントはプロテインになるかもしれません。プロテイン以上にタンパク質を確実にかつ単独で摂取できる食品はありませんから、食事での代替は利きますが、取り入れる価値は十分にあると思います。


桑原弘樹(くわばら・ひろき)
1961年4月6日生まれ。1984年立教大学を卒業後、江崎グリコ株式会社に入社。開発、経営企画などを経て、サプリメント事業を立ち上げ、16年以上にわたってスポーツサプリメントの企画・開発に携わる。現在は桑原塾を主宰。NESTA JAPAN(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会 日本支部)のPDA(プログラム開発担当)。また、国内外で活躍する数多くのトップアスリートに対して、サプリメント活用を取り入れた独自のコンディショニング指導を行ない、Tarzan(マガジンハウス)など各種スポーツ誌の企画監修や執筆、幅広いテーマでの講演会など多方面で活躍中。著書に「サプリメントまるわかり大事典」(ベースボールマガジン社)、「私は15キロ痩せるのも太るのも簡単だ!クワバラ式体重管理メソッド」(講談社)、「サプリメント健康バイブル」(学研)などがある。プロフィール写真のタンクトップにある300/365の文字は、年間365日あるうち300回のワークアウトを推奨した活動の総称となっている。300日ではなく300回であることがポイントで、1日2回のワークアウトでも可。決して低くはないハードルだが、あえて高めの目標設定をすることで肉体の進化が約束されると桑原塾は考え、実践している。