ラム肉は太らないというのは本当?【桑原弘樹の栄養LOVE】




サプリメント実践的活用のスペシャリストである桑原弘樹さんが、サプリや栄養や肉体に関する疑問を解決する連載。第118回は、他の肉と比べてヘルシーと言われるジンギスカンについて。

■カルニチンも多いが脂肪も多い

これは健康トークあるあるですね。

私の知人にもジンギスカン料理が大好物な人がいまして、彼は一切トレーニングなどしないのですが、それでも肥満体型や脂肪過多による健康害は気にしているようで、普段は多少なりとも節制をしています。ところがジンギスカンは太らないという都市伝説的な話を信じ切ってか、ジンギスカン料理だけは目一杯食べてしまうのです(当然、太ります)

ラムやマトンといった羊の肉にはカルニチンというアミノ酸が豊富に含まれています。もともとカルニチンは体内ではリジンとメチオニンというふたつの必須アミノ酸から合成されているアミノ酸なのですが、加齢とともにその合成量は減っていきます。

カルニチンの役割は分解された脂肪の運搬です。脂肪は脂肪酸へと分解された後、ミトコンドリアというエネルギーの生産工場に材料として運び込まれなくてはなりませんが、その際にはカルニチンが必要となるのです。

企業でも工場の敷地内に入る際には入館証のようなものが必要ですが、ミトコンドリアという敷地にはカルニチンという入館証がないと入れてもらえないのです。カルニチンは鶏や豚にはあまり含まれておらず、比較的豊富なのは牛肉なのですが、その牛肉と比較しても羊の肉には圧倒的に多く含まれていのです。

カルニチンが含まれているという点においては、確かにラム肉は太りにくい要素を持っていますが、脂肪もタンパク質と同等近く含まれていますので、カロリー換算した場合には脂肪が一番多く含まれていることになります。もちろんカロリー過多の分はいかにカルニチンが含まれていようが、体内では脂肪へと蓄積されてしまいますから、太らないという期待には応えにくいと言わざるを得ません。


桑原弘樹(くわばら・ひろき)
1961年4月6日生まれ。1984年立教大学を卒業後、江崎グリコ株式会社に入社。開発、経営企画などを経て、サプリメント事業を立ち上げ、16年以上にわたってスポーツサプリメントの企画・開発に携わる。現在は桑原塾を主宰。NESTA JAPAN(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会 日本支部)のPDA(プログラム開発担当)。また、国内外で活躍する数多くのトップアスリートに対して、サプリメント活用を取り入れた独自のコンディショニング指導を行ない、Tarzan(マガジンハウス)など各種スポーツ誌の企画監修や執筆、幅広いテーマでの講演会など多方面で活躍中。著書に「サプリメントまるわかり大事典」(ベースボールマガジン社)、「私は15キロ痩せるのも太るのも簡単だ!クワバラ式体重管理メソッド」(講談社)、「サプリメント健康バイブル」(学研)などがある。プロフィール写真のタンクトップにある300/365の文字は、年間365日あるうち300回のワークアウトを推奨した活動の総称となっている。300日ではなく300回であることがポイントで、1日2回のワークアウトでも可。決して低くはないハードルだが、あえて高めの目標設定をすることで肉体の進化が約束されると桑原塾は考え、実践している。