サプリメント実践的活用のスペシャリストである桑原弘樹さんが、サプリや栄養や肉体に関する疑問を解決する連載。第121回は、朝が苦手な人におすすめのサプリメントについて。
■睡眠の質を改善するか、起床時にシャキッとさせるか
睡眠の質が悪いと、朝の寝起きに影響しますよね。
睡眠の質を改善するアミノ酸は割とたくさんあります。オルニチン、グリシン、リジン、シトルリンあたりが代表的で、テアニンも睡眠には好影響です。味の素の「グリナ」はグリシンを主成分としていて、「エキストラアミノアシッド」はアミノ酸以外にもビタミンやミネラルを組み合わせた配合の妙で、睡眠の質の改善を目指しました。
基本的には就寝前に摂取するということになりますが、起床時にシャキッとさせるという発想も大切です。こちらは何と言ってもカフェインによる覚醒効果でしょうが、グルタミンは胃腸のエネルギー源となりますから、朝一で飲むことで朝の低い代謝を上げてくれる効果が期待できます。他には、アルギニンやシトルリンによる一酸化窒素(NO)を増やすことで血流をよくするのも、朝のシャッキと感にはいいかもしれません。
またBCAAは血液中でセロトニンの材料となるトリプトファンと拮抗しているため、BCAAの濃度が高いと結果的にセロトニンがつくられにくく、トレーニング中のどんより感を防いでくれます。朝、眠気覚ましに散歩や軽いエクササイズをするのであれば、BCAAを補充してからやるといいかもしれません。
サプリメントではありませんが、睡眠に最も影響が強いのは光だと言われています。つまり睡眠時には光のない状態が好ましく、逆に起床時には光の情報を網膜から取り入れてやるようにします。サーカディアンリズムと呼ばれる体内時計は、光の情報によってリセットされるのでシャッキッとするだけでなく夜の睡眠も改善され、ひいては翌朝の寝起きにもいい影響があります。ちなみに脳内にある中枢系の体内時計は光でリセットされ、抹消にある体内時計は栄養によってリセットされるので、朝ご飯を食べるという行為も睡眠に影響していきます。
桑原弘樹(くわばら・ひろき)
1961年4月6日生まれ。1984年立教大学を卒業後、江崎グリコ株式会社に入社。開発、経営企画などを経て、サプリメント事業を立ち上げ、16年以上にわたってスポーツサプリメントの企画・開発に携わる。現在は桑原塾を主宰。NESTA JAPAN(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会 日本支部)のPDA(プログラム開発担当)。また、国内外で活躍する数多くのトップアスリートに対して、サプリメント活用を取り入れた独自のコンディショニング指導を行ない、Tarzan(マガジンハウス)など各種スポーツ誌の企画監修や執筆、幅広いテーマでの講演会など多方面で活躍中。著書に「サプリメントまるわかり大事典」(ベースボールマガジン社)、「私は15キロ痩せるのも太るのも簡単だ!クワバラ式体重管理メソッド」(講談社)、「サプリメント健康バイブル」(学研)などがある。プロフィール写真のタンクトップにある300/365の文字は、年間365日あるうち300回のワークアウトを推奨した活動の総称となっている。300日ではなく300回であることがポイントで、1日2回のワークアウトでも可。決して低くはないハードルだが、あえて高めの目標設定をすることで肉体の進化が約束されると桑原塾は考え、実践している。