サプリメント実践的活用のスペシャリストである桑原弘樹さんが、サプリや栄養や肉体に関する疑問を解決する連載。第123回は、体にとって食事量はどのくらいがベストなのか?という疑問について。
■七分目あたりが無難だが、年齢によっても変わる
よく「腹八分目に医者いらず」などと言いますが、満腹状態を繰り返すのはデメリットが大きいことは間違いありません。
すぐに起こるわけではありませんが、糖尿病、脂質異常、高血圧など、長い期間を経ていわゆる生活習慣病の原因にもなります。胃腸のキャパを超えて食べても栄養として活用される効率は落ちてしまいますし、内臓が必要以上に働く際には、必要以上にATP(アデノシン三リン酸)も消費してしまいます。ATPはエネルギー通貨であり、体内に蓄えておけないものなので、この不足分が日常的に引き起こすデメリットは無視できないレベルになっていきます。
やはり食事の基本は少量多頻度ということになります。では腹何分目がいいのかですが、細かい差ではありますが七分目あたりが最も確実に胃腸のキャパの範囲内になると思います。ただし、たとえば昼ご飯が少し遅めになるとか、時間が確実に読めないような状況であれば、そこまで見越して腹八分目~九分目という選択肢もアリだと思います。
加えて年齢的な要素も関わってきます。30代以降は無理な食べ方はNGですが、仮に10代後半あたりの伸び盛りの時に、スポーツなどで体を酷使しているのであれば、腹八分目などと言っていられないでしょう。九分目どころか、毎回満腹状態にしても次まで持たないかもしれません。
相撲やプロレスに新弟子で入門してくる10代の若者なども、最初は無理やりのように食べさせられます。食べるのもトレーニングだとはよく言ったものです。一見、合理的に見えない行為ではありますが、結果として彼らは食べない子よりも大きくなっていきます。胃腸含め、内臓も適応してくれるのが若者の特権なのかもしれません。そのように考えると、若い時に限って言えば、なるべくたくさん食べて、たくさん動いて、たくさん寝るというのが理想かもしれません。
桑原弘樹(くわばら・ひろき)
1961年4月6日生まれ。1984年立教大学を卒業後、江崎グリコ株式会社に入社。開発、経営企画などを経て、サプリメント事業を立ち上げ、16年以上にわたってスポーツサプリメントの企画・開発に携わる。現在は桑原塾を主宰。NESTA JAPAN(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会 日本支部)のPDA(プログラム開発担当)。また、国内外で活躍する数多くのトップアスリートに対して、サプリメント活用を取り入れた独自のコンディショニング指導を行ない、Tarzan(マガジンハウス)など各種スポーツ誌の企画監修や執筆、幅広いテーマでの講演会など多方面で活躍中。著書に「サプリメントまるわかり大事典」(ベースボールマガジン社)、「私は15キロ痩せるのも太るのも簡単だ!クワバラ式体重管理メソッド」(講談社)、「サプリメント健康バイブル」(学研)などがある。プロフィール写真のタンクトップにある300/365の文字は、年間365日あるうち300回のワークアウトを推奨した活動の総称となっている。300日ではなく300回であることがポイントで、1日2回のワークアウトでも可。決して低くはないハードルだが、あえて高めの目標設定をすることで肉体の進化が約束されると桑原塾は考え、実践している。