サプリメント実践的活用のスペシャリストである桑原弘樹さんが、サプリや栄養や肉体に関する疑問を解決する連載。第125回は、ごはんがおいしく感じるようになり、結果的に太りやすいと言われる禁煙の噂について。
■タバコにダイエット効果や痩身効果は期待できない
タバコに痩せる作用は一切ありませんが、タバコを吸うと口腔内の環境が悪くなるため味覚が鈍ります。その結果、食べ物がおいしく感じなくなるといった弊害があるため、今度はその逆でタバコをやめることで食べ物がおいしく感じるというのは事実です。
私はタバコを吸いませんので、試しに口の中に煙を入れるだけでも1、2時間は口の中の味覚がおかしくなるのがわかります。それが常態化しているのですから、あの苦みとも何とも言えない違和感がない状態での食事は、さぞかしおいしく感じることでしょう。
ではタバコを吸えば、結果的に食欲が減退して痩せるのかと言われれば、必ずしもそうではないようです。ニコチンには男性ホルモンを優位にして女性ホルモンを抑制する作用があるため、脂肪が男性型の内臓脂肪型として蓄積されやすくなるようです。またニコチン中毒になってくると、タバコが吸えない時間帯を耐えるために何かしら口に入れる習慣が身についてしまいます。お菓子のような間食であったり、ガムやキャンディでごまかすわけです。その分のカロリーは日々の無意識の摂取において、カロリー過多につながっていきます。
愛煙家の方には申し訳ないのですが、ダイエット効果や痩身効果はまったく期待できず、逆に太る要因もはらんでいるというのが事実でしょう。ある調査では喫煙者に肥満が多いという結果もあるそうです。これはどうやら健康意識への問題のようで、喫煙者のほうが健康への意識が低いために、肥満への意識も薄くなるというのが原因のようです。
ストレス緩和やリラックスのためのひとつのアイテムとして喫煙を取り入れる人も多いかと思いますが、健康のことを考えれば他の手法を検討できたらより快適になると思います。
何よりも元来の食事のおいしさを味わえる喜びが手に入ります。
桑原弘樹(くわばら・ひろき)
1961年4月6日生まれ。1984年立教大学を卒業後、江崎グリコ株式会社に入社。開発、経営企画などを経て、サプリメント事業を立ち上げ、16年以上にわたってスポーツサプリメントの企画・開発に携わる。現在は桑原塾を主宰。NESTA JAPAN(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会 日本支部)のPDA(プログラム開発担当)。また、国内外で活躍する数多くのトップアスリートに対して、サプリメント活用を取り入れた独自のコンディショニング指導を行ない、Tarzan(マガジンハウス)など各種スポーツ誌の企画監修や執筆、幅広いテーマでの講演会など多方面で活躍中。著書に「サプリメントまるわかり大事典」(ベースボールマガジン社)、「私は15キロ痩せるのも太るのも簡単だ!クワバラ式体重管理メソッド」(講談社)、「サプリメント健康バイブル」(学研)などがある。プロフィール写真のタンクトップにある300/365の文字は、年間365日あるうち300回のワークアウトを推奨した活動の総称となっている。300日ではなく300回であることがポイントで、1日2回のワークアウトでも可。決して低くはないハードルだが、あえて高めの目標設定をすることで肉体の進化が約束されると桑原塾は考え、実践している。