免疫力アップのヨーグルト「R-1」、効果のほどは?【桑原弘樹の栄養LOVE】




サプリメント実践的活用のスペシャリストである桑原弘樹さんが、サプリや栄養や肉体に関する疑問を解決する連載。第128回は、このご時世はとくに気になる免疫力に効果があるとされるヨーグルトについて。

■NK細胞という免疫細胞を活性化させる

基本的には効果があると思います。本当はCMなどでももっと効果を謳いたいのだと思いますが、薬機法の絡みもあって漠然としたイメージを伝えるに留めざるを得ないのでしょうね。

R-1は乳酸菌の一種ですが、その乳酸菌も善玉菌の総称で、R-1の正式名称は「ラクトバチルス・ブルガリクス(Lactobacillus bulgaricus)OLL1073R-1」だそうです。何千種類もあるので、新しい機能を持った乳酸菌がないかも含めて、乳業メーカーを中心に乳酸菌の研究はどんどんと進められています。

R-1が腸内で生み出す多糖体がインターフェロンというタンパク質をつくり出すのですが、このインターフェロンはNK細胞という免疫細胞を活性化するため、さまざまな菌やウイルスへの抵抗力が強くなるという仕組みです。NK細胞はリンパ球という免疫細胞に分類されるものですが、抗体をつくって特定のウイルスを攻撃するのではなく、すべてのウイルスに対して攻撃を仕掛けるため獲得免疫の中でもじつに心強い細胞なのです。マクロファージなどの自然免疫が体内の警察とするなら、獲得免疫は軍隊のような存在ですが、NK細胞は軍隊に属しながらも警察的な機敏な働きをしてくれるのです。

もちろんR-1だけ飲んでいたら免疫の効果があるのではなく、他にもビタミンCやグルタミンなども必要になりますし、そもそもバランスのよい食事であったりしっかりとした睡眠などが大前提です。R-1に限らず、乳酸菌はプロバイオティクスとして今後も期待が大きいものです。ただ人によっての相性もあったりするので、一回試してどうかという判断ではなく、1~2週間は同じタイプの乳酸菌を取り続けてみて、自分に合っているかどうかといった判断をするのがいいと思います。自分に合った乳酸菌探しをしてみるのも楽しいかもしれませんね。


桑原弘樹(くわばら・ひろき)
1961年4月6日生まれ。1984年立教大学を卒業後、江崎グリコ株式会社に入社。開発、経営企画などを経て、サプリメント事業を立ち上げ、16年以上にわたってスポーツサプリメントの企画・開発に携わる。現在は桑原塾を主宰。NESTA JAPAN(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会 日本支部)のPDA(プログラム開発担当)。また、国内外で活躍する数多くのトップアスリートに対して、サプリメント活用を取り入れた独自のコンディショニング指導を行ない、Tarzan(マガジンハウス)など各種スポーツ誌の企画監修や執筆、幅広いテーマでの講演会など多方面で活躍中。著書に「サプリメントまるわかり大事典」(ベースボールマガジン社)、「私は15キロ痩せるのも太るのも簡単だ!クワバラ式体重管理メソッド」(講談社)、「サプリメント健康バイブル」(学研)などがある。プロフィール写真のタンクトップにある300/365の文字は、年間365日あるうち300回のワークアウトを推奨した活動の総称となっている。300日ではなく300回であることがポイントで、1日2回のワークアウトでも可。決して低くはないハードルだが、あえて高めの目標設定をすることで肉体の進化が約束されると桑原塾は考え、実践している。