グラスフェッド・ビーフ(バター)は体にいい?【桑原弘樹の栄養LOVE】




サプリメント実践的活用のスペシャリストである桑原弘樹さんが、サプリや栄養や肉体に関する疑問を解決する連載。第133回は、牧草で育った牛(グラスフェッドビーフ)の肉や、その牛の乳から作ったバターの栄養素について。

■穀物を餌とする牛と比較すればヘルシー

グラスフェッドは牧草で飼育された家畜のことで、グラスフェッド・ビーフは牧草で育った牛です。その牛の乳から作ったバターはグラスフェッドバターということになります。一方、畜舎などで穀物を餌とする牛はグレインフェドビーフと呼びます。

グラスフェッドで飼育される牛は、日中などは牧草を求めて動き回ることから自然と運動量が多くなるため、肉の質も変わっていきますし、必然的に脂肪は少なくなります。結果として赤身中心の、低カロリーでおいしい肉であると人気のようです。またω-3系不飽和脂肪酸が含まれているとか、抗酸化作用があるとか、はたまた脂肪燃焼効果まで期待できるとか、ヘルシーな印象からより機能面が誇張されている感もあります。

グラスフェッドバターはコーヒーに溶かして、バターコーヒーとして楽しむことで高脂質・低糖質のファットアダプテーションを行なう人にも人気です。朝起きたらグラスフェッドバターを溶かしたバターコーヒーを飲んで、軽い有酸素運動を行なうことで、より脂肪のエネルギー利用率を高めていくといった方法です(日中を通じて糖質の摂取を制限していく必要があります)。どちらもヘルスコンシャスな人が好み、ヘルシーな印象が強いものと言えます。

ただし、これは無条件に体にいいという話ではなく、通常のグレインフェッドと比較しての話ですのでヘルシーな印象を過大評価して食してしまうと、カロリー過多にもなりますし弊害も出てくるかと思います。また、グラスフェッドの食材に言われる機能面についても、それだけを期待してグラスフェッドのビーフやバターを食しても期待はずれになるかと思います。あくまでもグレインフェッドのビーフやバターの代わりにグラスフェッドにするという発想として、体にいいと言えるのではないでしょうか。


桑原弘樹(くわばら・ひろき)
1961年4月6日生まれ。1984年立教大学を卒業後、江崎グリコ株式会社に入社。開発、経営企画などを経て、サプリメント事業を立ち上げ、16年以上にわたってスポーツサプリメントの企画・開発に携わる。現在は桑原塾を主宰。NESTA JAPAN(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会 日本支部)のPDA(プログラム開発担当)。また、国内外で活躍する数多くのトップアスリートに対して、サプリメント活用を取り入れた独自のコンディショニング指導を行ない、Tarzan(マガジンハウス)など各種スポーツ誌の企画監修や執筆、幅広いテーマでの講演会など多方面で活躍中。著書に「サプリメントまるわかり大事典」(ベースボールマガジン社)、「私は15キロ痩せるのも太るのも簡単だ!クワバラ式体重管理メソッド」(講談社)、「サプリメント健康バイブル」(学研)などがある。プロフィール写真のタンクトップにある300/365の文字は、年間365日あるうち300回のワークアウトを推奨した活動の総称となっている。300日ではなく300回であることがポイントで、1日2回のワークアウトでも可。決して低くはないハードルだが、あえて高めの目標設定をすることで肉体の進化が約束されると桑原塾は考え、実践している。