酢が脂肪を減らすってホント?【桑原弘樹の栄養LOVE】




サプリメント実践的活用のスペシャリストである桑原弘樹さんが、サプリや栄養や肉体に関する疑問を解決する連載。第135回は、何かと健康によいと言われる酢の効果について。

■間接的に脂肪を減らす効果はある

お酢の主成分は酢酸で、確かに酢酸には健康によいとされるいくつかの効果が報告されています。たとえば、血糖値の上昇を抑制する効果がインスリンの過剰分泌を抑えることにつながり、結果的に脂肪の蓄積を抑制します。さらに間接的になりますが、血圧を調整する効果があるため、血圧を緩やかに上昇させたり血管を広げる効果につながり、血流促進や代謝アップへとつながっていきます。

腸内においてはぜん動運動を促進させるため、便秘予防や便通改善となり、これまた間接的ではありますが体脂肪の減少へとつながります。お酢を飲むだけで脂肪がどんどんと減っていくという効果は期待すべきではありませんが、少なくとも脂肪を合成ではなく減らす方に傾けていくという効果はありますから、日頃から食事にお酢を活用するという発想はアリではないでしょうか。

お酢はそのおおもとの原料によって種類が分かれますが、玄米を原料とする黒酢はさらに健康によいとされる効果があります。とくに赤血球変形能という赤血球の柔軟性を高める効果があり、これは血流が促進されるためたとえば肩凝りのような症状にも効果が見られます。赤血球は毛細血管の先のほうよりも大きさが大きいため、体の隅々まで行くためにはその球形の形状を楕円状に変えなくてはなりません。活性酸素や日頃のストレスなどによってこの赤血球が形を変える能力が徐々に落ちていき、そのため毛細血管の先まで行けなくなってしまうのです。赤血球は酸素の運搬という重責を担っていますから、赤血球が硬くなると体の先のほうには酸素が行きわたらないことになってしまいます。

黒酢の効果で赤血球変形能が改善されていくと、酸素が体の隅々まで行きわたることにもなりますので、肩凝りの改善以外にもさまざまな健康面での改善効果が期待できそうです。これまた間接的にはなりますが、脂肪を燃焼させたり蓄積を抑制する効果にもつながっていきます。


桑原弘樹(くわばら・ひろき)
1961年4月6日生まれ。1984年立教大学を卒業後、江崎グリコ株式会社に入社。開発、経営企画などを経て、サプリメント事業を立ち上げ、16年以上にわたってスポーツサプリメントの企画・開発に携わる。現在は桑原塾を主宰。NESTA JAPAN(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会 日本支部)のPDA(プログラム開発担当)。また、国内外で活躍する数多くのトップアスリートに対して、サプリメント活用を取り入れた独自のコンディショニング指導を行ない、Tarzan(マガジンハウス)など各種スポーツ誌の企画監修や執筆、幅広いテーマでの講演会など多方面で活躍中。著書に「サプリメントまるわかり大事典」(ベースボールマガジン社)、「私は15キロ痩せるのも太るのも簡単だ!クワバラ式体重管理メソッド」(講談社)、「サプリメント健康バイブル」(学研)などがある。プロフィール写真のタンクトップにある300/365の文字は、年間365日あるうち300回のワークアウトを推奨した活動の総称となっている。300日ではなく300回であることがポイントで、1日2回のワークアウトでも可。決して低くはないハードルだが、あえて高めの目標設定をすることで肉体の進化が約束されると桑原塾は考え、実践している。