9/26（日）に東京都・日野市市民体育館大ホールにて行なわれた、第61回関東学生ボディビル選手権大会・ボディビル部門で、帝京大学バーベルクラブの高橋明生（現・4年）が見事優勝をはたした。部門優勝だけでなく、ベストポーザー以外の部分賞も総ナメで受賞した高橋は「未だに信じられません」と驚きの表情をあらわにした。
実は高橋は2年前、VITUP! のインタビューに応じているのだが、そのとき口にしたのは「本音を言うと、大会には出たくないんです」というネガティブともとれる発言だった。
相澤隼人（現・日本体育大学4年）や、泉風雅（早稲田大学卒）といったトップ選手と自分を比べてしまい自信をなくしていた高橋だが、ある選手との出会いが競技者の魂に火をつける。
「関西の宇佐美一歩君を意識して、この一年はずっとトレーニングをしてきました。彼がいなかったら、きっとここまで来れていないと思います」
一昨年に大阪を訪れたという高橋は、そこで宇佐美（現・阪南大学3年）と意気投合。宇佐美は今年の関西学生ボディビル選手権でも優勝をはたしており、全国での優勝候補筆頭だ。当時は勝てるとは思えないほどの存在だったが、ここ一年でライバル意識が芽生えたのだという。そんなライバルとの出会いは、コロナ禍でもモチベーションを維持するのに十分だった。
「去年は大会が延期になってしまい、バーベルクラブの活動も中止でした。ですが、その中でもトレーニングはずっと続けてきました。相変わらず周りを見ると自信はなくなりましたが、それでも勝ちたいという思いが湧いてきたんです」
コロナ禍でも自己研鑽を怠らなかった高橋は、鍛え上げたボディを披露し今大会で優勝。ライバル・宇佐美選手の待つ10/3日（土）の全日本学生ボディビル選手権の出場権を手にしてみせた。悲願の切符を手にした高橋は、自身の目標を見据えて力を込めた。
「よく謙虚だと言われるんですが、自信がないだけなんですよ。ですがその中でも、宇佐美君といい勝負がしたいという思いだけは譲れません。せめて、彼と肩を並べられるボディビルダーになりたいんです」
ライバルの存在は高橋を強く、逞しくしていた。全日本の舞台で、高橋明生の名が轟く日が楽しみだ。
取材・文/森本雄大
写真/ちびめが、森本雄大
