サプリメント実践的活用のスペシャリストである桑原弘樹さんが、サプリや栄養や肉体に関する疑問を解決する連載。第148回は、とうもろこしなどの天然のデンプンから生まれた食物繊維である難消化性デキストリンについて。
■糖や脂肪の吸収を抑える効果がある
難消化性デキストリンとは文字の通りの意味合いで、消化しにくいデキストリンのことで、水溶性の食物繊維です。私たちの間ではよく「難デキ」などと略して呼んだりしていました。トクホの成分にもなっていて、本来なら効果効能を謳えないはずの清涼飲料などで脂肪の吸収を抑えるとか、食後の血糖値が上がらないなどといった表現は、この難デキを配合しているものが多いと思います。原料はとうもろこしで、そこから取り出したでん粉を加水分解してデキストリンにし、さらにそのデキストリンから消化しにくい成分(食物繊維)を抽出したものが難消化デキストリンです。
デキストリンと聞くとカロリーの塊のような印象を持つかもしれませんが、難消化デキストリンはその逆で、その大半が消化できない食物繊維なので1gあたり1㎉しかありません。そして何よりも多くの生理機能を持っていて、まずは糖の吸収を抑えてくれます。その結果、食後の血糖値が上がりにくくなり、ひいては肥満や生活習慣病の予防になります。
また、脂肪の吸収を抑える効果もあります。こちらは中性脂肪を抑制してくれますし、やはり肥満防止につながります。このあたりの生理機能を利用した飲料は多いのではないでしょうか。
さらに水溶性の食物繊維であるため、整腸機能も期待できます。腸活という言葉が使われるほど、昨今は腸内環境への関心が高まっています。たしかに栄養の本当の入口でもありますし、同時に菌やウイルスの入口にもなってしまう場所なので、体内にとっては最重要な場所であることは間違いありません。免疫細胞の7割ほどが腸に集まっていますし、セロトニンもじつはその大半は腸内でつくられています。吸収抑制と同時に腸内環境を整えるという効果は、無視できないほどのありがたい効果かもしれません。
最後にミネラルの吸収促進という効果も期待されています。通常、食物繊維は大まかに言えば吸収を緩やかにする傾向にありますが、難消化デキストリンの場合はCaやMg、Fe、Znなどのミネラルの吸収を促進してくれます。
桑原弘樹(くわばら・ひろき)
1961年4月6日生まれ。1984年立教大学を卒業後、江崎グリコ株式会社に入社。開発、経営企画などを経て、サプリメント事業を立ち上げ、16年以上にわたってスポーツサプリメントの企画・開発に携わる。現在は桑原塾を主宰。NESTA JAPAN(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会 日本支部)のPDA(プログラム開発担当)。また、国内外で活躍する数多くのトップアスリートに対して、サプリメント活用を取り入れた独自のコンディショニング指導を行ない、Tarzan(マガジンハウス)など各種スポーツ誌の企画監修や執筆、幅広いテーマでの講演会など多方面で活躍中。著書に「サプリメントまるわかり大事典」(ベースボールマガジン社)、「私は15キロ痩せるのも太るのも簡単だ!クワバラ式体重管理メソッド」(講談社)、「サプリメント健康バイブル」(学研)などがある。プロフィール写真のタンクトップにある300/365の文字は、年間365日あるうち300回のワークアウトを推奨した活動の総称となっている。300日ではなく300回であることがポイントで、1日2回のワークアウトでも可。決して低くはないハードルだが、あえて高めの目標設定をすることで肉体の進化が約束されると桑原塾は考え、実践している。