サプリメント実践的活用のスペシャリストである桑原弘樹さんが、サプリや栄養や肉体に関する疑問を解決する連載。第157回は、朝食を摂ることの大切さについて。
■プチ飢餓状態は脂肪を溜めることにつながる
人類の歴史のほとんどは飢餓との戦いの歴史でしたから、遺伝子的にも飢餓への対応に敏感です。筋肉のように特別な努力によってつけたモノ(器官)は、その努力がなくなった時点で不要なモノとして優先的に減ってしまいます。つまり何もしなくても内臓は減りませんが、筋肉への刺激がなければ筋肉は減ってしまうのです。
そしてもうひとつ大きな影響を与えるのが、食事も含めた栄養という要素です。仮に朝食を抜いた場合、昨晩の食事から翌日の昼食までカロリーを含めた栄養素が入ってこないことになります。たまたまそういう日があるのは仕方ないとしても、それが日常となると日々プチ飢餓の情報を与え続けていることにもなります。そうなると飢餓へ対応するということに敏感になりますから、当然脂肪を溜めてエネルギー源を確保する方向に進み、またエネルギーを無駄遣いする不要とも言える筋肉は、分解の方向へ進みます。
つまり、飽食の時代におけるボディメイクの真逆の反応となってしまうのです。
また、脳のエネルギー源である糖が補給されませんから、午前中を中心として脳の活動は低くなります。過剰なカロリーや栄養素を調整するためとか、元来生き物は2食で十分にやっていけるとか、断食のメリットなどを理由に朝食を抜くことを推奨するケースもありますが、カロリーや栄養素の調整であれば最もたくさん摂取する晩ごはんで行なえばいいですし、大昔と今では生活様式がまったく異なりますし、とくに午前中という一日の中でも効率的に業務がこなせるタイミングでのパフォーマンス向上に、栄養素は必要不可欠であることは間違いないでしょう。
いきなりパーフェクトを目指すのではなく、まずは食べることくらいからスタートさせてみてはいかがでしょうか。プロテインなどの活用も、朝の忙しく食欲も湧かないシーンにおいては非常にありがたいアイテムです。
桑原弘樹(くわばら・ひろき)
1961年4月6日生まれ。1984年立教大学を卒業後、江崎グリコ株式会社に入社。開発、経営企画などを経て、サプリメント事業を立ち上げ、16年以上にわたってスポーツサプリメントの企画・開発に携わる。現在は桑原塾を主宰。NESTA JAPAN(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会 日本支部)のPDA(プログラム開発担当)。また、国内外で活躍する数多くのトップアスリートに対して、サプリメント活用を取り入れた独自のコンディショニング指導を行ない、Tarzan(マガジンハウス)など各種スポーツ誌の企画監修や執筆、幅広いテーマでの講演会など多方面で活躍中。著書に「サプリメントまるわかり大事典」(ベースボールマガジン社)、「私は15キロ痩せるのも太るのも簡単だ!クワバラ式体重管理メソッド」(講談社)、「サプリメント健康バイブル」(学研)などがある。プロフィール写真のタンクトップにある300/365の文字は、年間365日あるうち300回のワークアウトを推奨した活動の総称となっている。300日ではなく300回であることがポイントで、1日2回のワークアウトでも可。決して低くはないハードルだが、あえて高めの目標設定をすることで肉体の進化が約束されると桑原塾は考え、実践している。