良質な睡眠のための夕食のチョイスは?【桑原弘樹の栄養LOVE】




サプリメント実践的活用のスペシャリストである桑原弘樹さんが、サプリや栄養や肉体に関する疑問を解決する連載。第173回は、良質な睡眠を取るためにはどんな食事をするのがベストなのか?というテーマ。

■脂質は消化が遅いため、夕食ではなるべく控える

まず何を食べるかの前に、いつ食べるか(いつ食べ終わるか)が重要です。

要は胃に食べ物が消化されていない状態は睡眠の質を下げてしまうので、理想的には就寝の3時間前にカロリーを摂るのをやめるようにします。ただ3時間前というのは意外にハードルが高くライフスタイルにも影響する可能性がありますので、とりあえず2時間前を目標にカロリーストップを心がけてみてください。最初の数日は空腹のために寝つきが悪いという人もいますが、その後慣れてしまえばむしろ空腹でないと寝つきが悪いという真逆の状態になると思います。入眠のスムーズさと、翌朝の内臓の軽さを実感するのではないでしょうか。

また脂質は消化が遅いため、夕食にあまり脂質が多いものを摂らないという工夫も効果的です。脂質以外ではカフェインなどの覚醒系、過度のアルコール、刺激の強い食べ物も避けておくのが無難です。このようにまずはNGを減らしていくのが第1ステップと言えます。

次に何を選ぶかですが、睡眠にプラスに作用するのがセロトニンです。セロトニンはトリプトファンからつくられるので、上述のようなNGを減らすのを前提としてトリプトファンリッチな食べ物は選ぶ価値があります。魚介類、鶏肉、大豆、牛乳などが候補として挙げられます。

トリプトファン以外では、グリシンも睡眠に効果があるアミノ酸です。グリシンを配合した機能性表示食品もありますから、ある程度の裏づけがしっかりとしているとも言えます。他にお茶の成分でもあるテアニンもアミノ酸の一種ですが、グリシン同様に睡眠への効果が期待されています。ただしお茶はカフェインも豊富なので、睡眠前に煎茶を飲むなどは微妙なところとなりますので、サプリメントで摂取するほうがいいかもしれません。

一般的な夕食で言うならば、魚介類、鶏肉、大豆などをあまり油を使わないように調理をするという感じでしょう。そして就寝2時間前までに夕食を終え、ホットミルクを飲んで入浴をして、場合によってはサプリメントを就寝前に活用するという流れになります。


桑原弘樹(くわばら・ひろき)
1961年4月6日生まれ。1984年立教大学を卒業後、江崎グリコ株式会社に入社。開発、経営企画などを経て、サプリメント事業を立ち上げ、16年以上にわたってスポーツサプリメントの企画・開発に携わる。現在は桑原塾を主宰。NESTA JAPAN(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会 日本支部)のPDA(プログラム開発担当)。また、国内外で活躍する数多くのトップアスリートに対して、サプリメント活用を取り入れた独自のコンディショニング指導を行ない、Tarzan(マガジンハウス)など各種スポーツ誌の企画監修や執筆、幅広いテーマでの講演会など多方面で活躍中。著書に「サプリメントまるわかり大事典」(ベースボールマガジン社)、「私は15キロ痩せるのも太るのも簡単だ!クワバラ式体重管理メソッド」(講談社)、「サプリメント健康バイブル」(学研)などがある。プロフィール写真のタンクトップにある300/365の文字は、年間365日あるうち300回のワークアウトを推奨した活動の総称となっている。300日ではなく300回であることがポイントで、1日2回のワークアウトでも可。決して低くはないハードルだが、あえて高めの目標設定をすることで肉体の進化が約束されると桑原塾は考え、実践している。