サプリメント実践的活用のスペシャリストである桑原弘樹さんが、サプリや栄養や肉体に関する疑問を解決する連載。第177回は、これから話題になるかもしれない桑原さん的・注目の食材をご紹介。
■グルテンフリーの唐揚げが誕生?
サプリメントであれば、サーチュイン(長寿遺伝子とも呼ばれ、その活性化により生物の寿命が延びるとされる遺伝子)を活性化すると言われるNMN(ニコチンアミド・モノ・ヌクレオチド)であるとか、新型コロナウイルスに効果があると言われている5-ALA(5-アミノレブリン酸)などはおもしろいと思います。また、乳酸菌は大手各社がしのぎを削って研究を進めていますから、これからどんどん新しい研究結果の報告が期待できそうです。
ただ、このあたりはサプリメント的な要素に近いので、より一般の食材という観点から考えた場合には「ソルガムきび」がおもしろいと思っています。いわゆる「きび」ですので、私たちに馴染みがある桃太郎のきびだんごと同類です。糖質なのでデンプン質の部分は良質なエネルギー源となりますが、それ以外にも玄米に近い要素があり、微量栄養素が豊富であったり食物繊維も多く含まれています。
また、お米以外の数少ないグルテンフリーの食材でもあり、昨今大人気となっているオートミールの次あたりに来てもおかしくない素材だと思います。原料のソルガムきびは味に癖がないのも特徴で、結果としていろいろな形状のものが楽しめます。
たとえば蒸しパンであるとか、パスタであるとか、お米であるとか、形状的には身近な食べ物として対応できるのです。中にはから揚げ粉にも変えられるので、から揚げの際にソルガムきびのから揚げ粉を使えば、グルテンフリーのから揚げの誕生となります。
粉から何かを自分でつくることもできますし、すでにスナック菓子や電子レンジで作れる蒸しパンや蕎麦などとして製品化されているものもあります。完全なグルテンフリーは手間がかかり面倒ですが、一日の中のどこか一食だけでもグルテンフリーにするとか、全体的に少しだけグルテンの摂取を控えるといった取り組みの際に、大いに役立ちそうです。そして実際にソルガムきびを食べて一番実感するのは、食物繊維の作用かもしれません。
蒸しパンを食べたのにお通じがいいという不思議な感覚でもあります。
桑原弘樹(くわばら・ひろき)
1961年4月6日生まれ。1984年立教大学を卒業後、江崎グリコ株式会社に入社。開発、経営企画などを経て、サプリメント事業を立ち上げ、16年以上にわたってスポーツサプリメントの企画・開発に携わる。現在は桑原塾を主宰。NESTA JAPAN(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会 日本支部)のPDA(プログラム開発担当)。また、国内外で活躍する数多くのトップアスリートに対して、サプリメント活用を取り入れた独自のコンディショニング指導を行ない、Tarzan(マガジンハウス)など各種スポーツ誌の企画監修や執筆、幅広いテーマでの講演会など多方面で活躍中。著書に「サプリメントまるわかり大事典」(ベースボールマガジン社)、「私は15キロ痩せるのも太るのも簡単だ!クワバラ式体重管理メソッド」(講談社)、「サプリメント健康バイブル」(学研)などがある。プロフィール写真のタンクトップにある300/365の文字は、年間365日あるうち300回のワークアウトを推奨した活動の総称となっている。300日ではなく300回であることがポイントで、1日2回のワークアウトでも可。決して低くはないハードルだが、あえて高めの目標設定をすることで肉体の進化が約束されると桑原塾は考え、実践している。