筋トレ前におすすめの補食は?【桑原弘樹の栄養LOVE】




サプリメント実践的活用のスペシャリストである桑原弘樹さんが、サプリや栄養や肉体に関する疑問を解決する連載。第188回は、筋トレ前におすすめの補食は何か?という疑問について。

■血中アミノ酸濃度は高く維持させておきたい

どれくらい前に摂るかによって内容も変わるかと思いますが、筋トレに必要なのはグリコーゲンですから、糖質を摂取しておくのは重要です。ただし、直前になってブドウ糖や砂糖などを摂取するのは逆効果となりますので要注意です。一瞬、血糖値が上がって気持ちも高揚しますが、その後トレーニングを始めるとインスリンの効果とGLUT4という糖の輸送体が増える効果が重なり合って、低血糖へと向かうからです。本当の意味でのグリコーゲン補充であれば、前の晩や当日の朝食の糖質補充をしっかりとするべきでしょう。

またグリコーゲン以外であれば、トレーニング中の血中アミノ酸濃度は高く維持させておきたいもの。これはサプリメントであればEAA(必須アミノ酸)などを直前に飲むのもアリですが、ホエイプロテインを筋トレから逆算して1時間ほど前に飲んでおくのもいいでしょう。コンビニなどのサラダチキンなどもタンパク質量としては十分ですが、トレーニング中の血中アミノ酸濃度という点においては間に合わないと思います。

 

仮に筋トレ開始まで1時間を切ってしまった状態であればあまり固形物は摂らずに、ゼリードリンクやEAAを使うのが無難かもしれません。その中でもバナナは消化スピードの速い良質な糖質ですので、バナナ+プロテインあたりを1時間前くらいに摂るのは理想的です。もちろん、市販のミールリプレスメントを使えばより完成度は高くなります。

いろいろなシーンが考えられますが、たとえば外回りをしていて、会社には戻らずそのままジムに行くのだけれどしっかりと食事ができていないというようなケースであれば、立ち食い蕎麦で月見うどんあたりを食べてからジムに向かうといいと思います。筋トレ後のゴールデンタイムにプロテインを摂取するというのはほぼ浸透しているかと思いますが、1時間ほど手前にホエイプロテインを飲むという習慣はあまり浸透していません。もしかするとゴールデンタイム以上に効果があるかもしれませんので、一度試してみてはいかがでしょうか。


桑原弘樹(くわばら・ひろき)
1961年4月6日生まれ。1984年立教大学を卒業後、江崎グリコ株式会社に入社。開発、経営企画などを経て、サプリメント事業を立ち上げ、16年以上にわたってスポーツサプリメントの企画・開発に携わる。現在は桑原塾を主宰。NESTA JAPAN(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会 日本支部)のPDA(プログラム開発担当)。また、国内外で活躍する数多くのトップアスリートに対して、サプリメント活用を取り入れた独自のコンディショニング指導を行ない、Tarzan(マガジンハウス)など各種スポーツ誌の企画監修や執筆、幅広いテーマでの講演会など多方面で活躍中。著書に「サプリメントまるわかり大事典」(ベースボールマガジン社)、「私は15キロ痩せるのも太るのも簡単だ!クワバラ式体重管理メソッド」(講談社)、「サプリメント健康バイブル」(学研)などがある。プロフィール写真のタンクトップにある300/365の文字は、年間365日あるうち300回のワークアウトを推奨した活動の総称となっている。300日ではなく300回であることがポイントで、1日2回のワークアウトでも可。決して低くはないハードルだが、あえて高めの目標設定をすることで肉体の進化が約束されると桑原塾は考え、実践している。