サプリメント実践的活用のスペシャリストである桑原弘樹さんが、サプリや栄養や肉体に関する疑問を解決する連載。第回は、190回は、暖かくなってきたこれからがシーズンの、山登りにおすすめの食材を紹介。
■糖質だけではなくタンパク質の摂取も心がける
山登りをする際にはその距離に関わらず、行動食と呼ばれる食べ物を携帯するのが一般的です。アメやチョコレートといった類からおにぎりまで幅広くあります。
以前、登山家に向けて行動食についての大々的なアンケートをとって、それを日本登山医学会で発表して論文化までしたことがあったのですが、内容的にはそれほど大げさなものではなく、ほとんどの人が糖質系のものを行動食として携帯していて、一方でタンパク質が不足しているといったものでした。どれくらい本格的な登山かにもよりますが、登山という行為をする上で糖質は欠かせません。即効型のエネルギー源ですから、これがなくては登山はできないわけです。
一方、タンパク質は必要不可欠な栄養素ではありますが、登山中においては優先順位的に糖質よりも下になると考えて間違いありません。つまりアンケート結果にあった、行動食に糖質系のものを選ぶというのは正しいのです。ところが、それがあまりにも当たり前になってしまって、逆に登山中のタンパク質不足の心配が出てきます。タンパク質やアミノ酸不足は登山中にはさほど影響がなくても、その次の登山やさらにその後の登山に影響が出てきます。体がどんどんと弱っていってしまうのです。そこで携帯に便利なアミノ酸を行動食に合わせて使ったりして、極力、登山中のタンパク質不足を防ごうという提案をした記憶があります。
タンパク質は腐るという特徴があるため、食べるにあたって調理が必要となります。これも、登山にタンパク質系の食材を携帯しない理由のひとつにあるかと思います。最近ではコンビニなどでもサラダチキン等に代表される、携帯にも便利なタンパク質系の食材がたくさん揃っていますから、登山における食事の際にはタンパク質を摂るように心掛けると、登山がより快適に続けられるようになるのではないでしょうか。
桑原弘樹(くわばら・ひろき)
1961年4月6日生まれ。1984年立教大学を卒業後、江崎グリコ株式会社に入社。開発、経営企画などを経て、サプリメント事業を立ち上げ、16年以上にわたってスポーツサプリメントの企画・開発に携わる。現在は桑原塾を主宰。NESTA JAPAN(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会 日本支部)のPDA(プログラム開発担当)。また、国内外で活躍する数多くのトップアスリートに対して、サプリメント活用を取り入れた独自のコンディショニング指導を行ない、Tarzan(マガジンハウス)など各種スポーツ誌の企画監修や執筆、幅広いテーマでの講演会など多方面で活躍中。著書に「サプリメントまるわかり大事典」(ベースボールマガジン社)、「私は15キロ痩せるのも太るのも簡単だ!クワバラ式体重管理メソッド」(講談社)、「サプリメント健康バイブル」(学研)などがある。プロフィール写真のタンクトップにある300/365の文字は、年間365日あるうち300回のワークアウトを推奨した活動の総称となっている。300日ではなく300回であることがポイントで、1日2回のワークアウトでも可。決して低くはないハードルだが、あえて高めの目標設定をすることで肉体の進化が約束されると桑原塾は考え、実践している。