∞転び八起き。“闘うフリーター”所英男の脱力人生(後編)【「気まぐれVITUP!」インタビュー】




VITUP!読者のみなさま、こんにちは。

前編、中編に続き“闘うフリーター”こと所英男選手のインタビュー(後編)をお届けします。筋肉の話にはほど遠いですが、箸休め的に不定期でお届けする格闘家インタビューでお楽しみください。

「ジムで発散するとすべてがゼロに。もう中毒です」

——対修斗の話もありましたが、この道でやっていけそうだと思ったのは、いつくらいでしょうか。

「ZSTの時も格闘技一本で食べていけると思っていませんでした。ただノゲイラに勝った後に石井(和義)館長に『明日から人生変わるから』と言われて、その時は『ホントかな?』くらいにしか思わなかったんですけど、周囲の反応からファイトマネーまで本当に一気に変わりました」

——でも所選手自身は、まったく変わらなかったですよね。

「僕が田舎にいる時だったら天狗になってダメになっていたと思います。芽が出る前に東京に来て、自分が何者でもないというのをすごく味わってからの急激な変化だったので、変わらずにいられたのかなというのはありますね」

——すぐにジムを辞めてしまう人も多いそうですが、所選手が続けられた理由は何でしょうか。

「白洋舎というところは特別で、同じ場所に立って単調な作業をやっているだけだったので、ジムで発散するとすべてがゼロになる感覚でした。今でもそうなんですけど、嫌なことがあっても練習で出し切ると忘れられると言いますか。なんかもう中毒ですよね」

——所選手でもそういうことがありますか。

「誰かに一言でも引っかかることを言われると結構気にするタイプなので。でも格闘技をやると、すべてがゼロになるのでいいですよね。だから成長しないんでしょうけど(苦笑)。僕みたいな普通の人間でもできますので、最初の一歩ですよね。勇気を持ってジムに来ちゃえば楽しいと思います」

◆ちゃんと引退試合をして終わらせたい