痛風が心配です。摂り過ぎに注意したほうがいいものは?【桑原弘樹の栄養LOVE】




サプリメント実践的活用のスペシャリストである桑原弘樹さんが、サプリや栄養や肉体に関する疑問を解決する連載。第195回は、痛風が気になる人に向けてのアドバイス。

■プリン体の多い食べ物を控えつつカロリー制限

まず痛風が起きる仕組みですが、核酸という遺伝子の構成要素の中にプリン体と呼ばれるものがあります。つまり、DNAなどの遺伝子にはプリン体が含まれています。このプリン体は核酸の一部なので、細胞の代謝や分裂にとっては欠かせない重要なものです。使われなかったプリン体は排泄されるにあたって、尿酸という物質に変えられて排泄されていきます。ここまではいたって健全な流れです。

問題なのは、尿酸が増えすぎて排泄しきれなくなった場合です。尿酸は血中に溶け込んだ状態にありますが、排泄がスムーズでなくなると結晶化してしまう性質があり、それが関節に溜まっていくのです。関節に溜まった尿酸は尿酸塩結晶となり関節液に入っていきますが、そこでは尿酸塩結晶は異物扱いされてしまうため、白血球の攻撃の対象となってしまいます。その結果、炎症物質が生じて風が当たっただけでも痛いと言われるほどの痛みをともなうことになるのです。

というわけで、痛風の原因物質はプリン体ということになるのですが、プリン体は核酸の構成要素ですから、遺伝子を持つほぼすべての食べ物に含まれています。つまり、プリン体が多い食べ物は要注意ということになります。レバーなどの肝系はプリン体が豊富ですし、魚の卵は粒が小さいので結果的に一つひとつに核酸が含まれていますから、多くのプリン体を含んでいます。アルコールではビールにプリン体が多いので、飲み過ぎに注意ということになります。

プリン体の多い食べ物や飲み物は注意が必要ということは間違いありませんが、ところがプリン体はじつは8割以上は体内でつくられています。つまり食べ物など外からの影響は2割程度なのです。さらに最近ではプリン体の摂取制限以上に、カロリーコントロールのほうが痛風への効果があるとされています。プリン体の多い食べ物を控えつつカロリー制限をするというのが、より効果的な痛風対策と言えます。


桑原弘樹(くわばら・ひろき)
1961年4月6日生まれ。1984年立教大学を卒業後、江崎グリコ株式会社に入社。開発、経営企画などを経て、サプリメント事業を立ち上げ、16年以上にわたってスポーツサプリメントの企画・開発に携わる。現在は桑原塾を主宰。NESTA JAPAN(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会 日本支部)のPDA(プログラム開発担当)。また、国内外で活躍する数多くのトップアスリートに対して、サプリメント活用を取り入れた独自のコンディショニング指導を行ない、Tarzan(マガジンハウス)など各種スポーツ誌の企画監修や執筆、幅広いテーマでの講演会など多方面で活躍中。著書に「サプリメントまるわかり大事典」(ベースボールマガジン社)、「私は15キロ痩せるのも太るのも簡単だ!クワバラ式体重管理メソッド」(講談社)、「サプリメント健康バイブル」(学研)などがある。プロフィール写真のタンクトップにある300/365の文字は、年間365日あるうち300回のワークアウトを推奨した活動の総称となっている。300日ではなく300回であることがポイントで、1日2回のワークアウトでも可。決して低くはないハードルだが、あえて高めの目標設定をすることで肉体の進化が約束されると桑原塾は考え、実践している。