――自律神経のなかの交感神経と副交感神経が、随時切り替わっているわけですか。
福田:下の表はそれぞれが優位なときの体の反応を示していますが、特にわかりやすいものだと筋肉。交感神経が優位だと、運動をしているときは緊張状態になって力が出やすい状態になります。逆に副交感神経が優位になると弛緩状態になり、血流の量も多くなって老廃物が早く出ていきやすくなります。
――疲労感というのは、交感神経が優位な状態が続くことで生まれるんですね。
福田:そうですね。男性だと30歳くらいから、女性だと40歳くらいから、この副交感神経が優位になることが減ってくる、というよりスイッチしにくくなってきます。例えば、お酒を飲んだ時に抜けが遅くなってきたりしていませんか? サラリーマンの方で同じような仕事をして同じように寝たとしても、年齢によって回復具合が変わってくると思います。もちろん若い人でも残業が多かったり仕事のストレスが多かったり、夜は湯船に浸からずシャワーだけで済ませたり、明るい電気の下にずっといると、交感神経が優位な状態が増えていってしまいますね。
――つまり、副交感神経が働く時間を長くする、これが疲労回復のキーワードとなるわけですか。
福田:その通りです。先ほど、乳酸が蓄積している=疲れていると勘違いしてしまっている方だと、例えばマッサージだけで回復すると思ったりしてしまいます。なので、副交感神経が働く時間を長くするためのことを行なっていかないと、言ってしまえば、疲労につながるものを放置している状態になってしまっています。多くの現代人はとにかく交感神経が働きがちなので、これを正常な状態にしてあげること、つまりリカバリー(休養・回復)が必要になってきます。
福田英宏(ふくだ・ひでひろ)
株式会社RecoveryAdviser(リカバリーアドバイザー) 代表取締役。プロアスリートをはじめとするスポーツ選手に「リカバリー理論」を指導するほか、休養や健康関連を展開する企業のコンサルティングを手掛ける「疲労回復の専門家」として活動中。これまで指導したスポーツ選手は、プロ野球球団やプロサッカーチームをはじめ、ラグビーやバスケット、バレー、卓球、テニス、ゴルフ、トライアスロンなど多岐にわたる。リカバリーウェアをはじめ、各種サプリ・グッズ等の最適な使用方法をアドバイスしてきた。自身も小学生5年から大学まで本格的に水泳競技に打ち込み、大学卒業後にはトライアスロン日本選手権に出場。また日本山岳耐久レースにも出場している。
●早稲田大学大学院スポーツ科学研究科(修士):研究テーマ『疲労回復ウェアに関する研究』
●睡眠改善インストラクター
●温泉入浴指導員
●Wasedaウエルネスネットワーク講師
●日本スポーツ産業学会 正会員