サプリメント実践的活用のスペシャリストである桑原弘樹さんが、サプリや栄養や肉体に関する疑問を解決する連載。第199回は、さまざまな種類があるサプリメントの中で、高いお金を払ってでも買う価値のあるサプリメントは何か?という疑問について。
■還元型コエンザイムQ10は重要性が高い
何を目的としているのか、いくらくらいを高額と考えるのかなど、かなり選択肢に幅が出てしまいますが、私の個人的な感覚でお答えしたいと思います。何か効果を体感するというのであれば、クレアチンは多少値段が高くても使う(買う)価値があると思います。ただ、クレアチンは最近、価格的にもさほど高くはありませんので、そこまで購入に躊躇することもないかもしれません。
逆に値段だけを意識して、極端に安いものは避けたほうが無難です。クレアチンに関しては純度が大切なので、99.9%以上の純度のものを多少値段が高くても選ぶべきです。最近話題のNMN(ニコチンアミド・モノヌクレオチド=ビタミンB3からつくられた食品成分)はおもしろい素材だと思いますが、まだ価格的には日常使いするサプリメントとは言えない気がします。数回飲んで効果があればいいのですが、日々摂取していく必要がありますから、もう少し大量生産なのか価格競争なのか、販売価格が下がってくれるのを待ちたいですね。
そういった点において、少し高めではあるけれどサプリメントとしての価値が高いと思うのは、還元型コエンザイムQ10です。体内で合成されるということから従来は優先順位がさほど高くなかった気がしますが、20歳前後から合成能力が落ちていくという点や、一般の食材からは十分量が摂れないという点からもサプリメントの意義があります。
何よりもその効果があまりにも根源的であって、また多岐にわたるため、どうしても美容のイメージがつきまといますが、ミトコンドリア内でATP(アデノシン三リン酸)をつくる上で欠かせない成分です。細胞に大きな影響を与えているのはミトコンドリアであるということがわかってきていて、そのミトコンドリアに影響を与えている可能性が高いのが、還元型コエンザイムQ10です。あらゆる生命活動の源に近い役割をはたしていると言っても過言ではなく、その重要性に鑑みた場合においては、必ずしも高額とは言えないかもしれません。
他にも、BCAA、HMB、ルテイン、αリポ酸、EPAなど、いろいろなサプリメントが価格高めでもおすすめな候補として考えられますが、とりあえず今回は還元型コエンザイムQ10推しとしておきます。
桑原弘樹(くわばら・ひろき)
1961年4月6日生まれ。1984年立教大学を卒業後、江崎グリコ株式会社に入社。開発、経営企画などを経て、サプリメント事業を立ち上げ、16年以上にわたってスポーツサプリメントの企画・開発に携わる。現在は桑原塾を主宰。NESTA JAPAN(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会 日本支部)のPDA(プログラム開発担当)。また、国内外で活躍する数多くのトップアスリートに対して、サプリメント活用を取り入れた独自のコンディショニング指導を行ない、Tarzan(マガジンハウス)など各種スポーツ誌の企画監修や執筆、幅広いテーマでの講演会など多方面で活躍中。著書に「サプリメントまるわかり大事典」(ベースボールマガジン社)、「私は15キロ痩せるのも太るのも簡単だ!クワバラ式体重管理メソッド」(講談社)、「サプリメント健康バイブル」(学研)などがある。プロフィール写真のタンクトップにある300/365の文字は、年間365日あるうち300回のワークアウトを推奨した活動の総称となっている。300日ではなく300回であることがポイントで、1日2回のワークアウトでも可。決して低くはないハードルだが、あえて高めの目標設定をすることで肉体の進化が約束されると桑原塾は考え、実践している。