自分とは違うタイプの人を認める指導を【三土手大介が伝授する4スタンス理論×トレーニングvol.4】




近年は多くの識者がさまざまなメディアでトレーニング情報を発信し、「いったいどれを参考にすればいいんだ、何が正解なんだ」とトレーニーたちが頭を悩ませがちである。そのような中、個々の身体特性を引き出す「4スタンス理論」をベースに指導にあたっているのが、元パワーリフティング世界チャンピオン・三土手大介さんだ。第4回は、人に指導する際に気を付けるべきことについて。

「なぜできないんだ」は避けたい言葉

――vol.4では、誰かを真似する際の注意点などをお話しいただきました。トレーニングに限らずスポーツの現場なども含めて、例えば指導者が子どもに接する際に気を付けるべきことにつながるのではないかと感じました。

三土手 私自身、今はトレーナーとして指導にあたっていますが、やはり若い頃は、何かの動作やフォームに関して「この人は、なぜこんな簡単なことができないんだろう」という疑問を感じることは多々ありました。自分が普通に違和感なくできることが、他人にはできないという経験は誰しもあると思います。それによって、例えば「なぜ君はできないんだ」という言葉を使う指導者もいるでしょう。自分のタイプの感覚を強く持っていることで、そういう言い方になってしまうことはあると思います。

――チームスポーツでは、よくありがちなシーンだと思います。

三土手 チームスポーツなんかだと、怖い話ですが、監督やコーチと同じようなタイプの選手がレギュラーになるということはありますね。その指導者にとっては、自分がイメージできる動きをしている選手は「いい動きだな」と思うけど、自分がイメージできない動きをしている選手を見ると、「なんでこんな動きになっちゃうの」と感じてしまう。4スタンス理論を深く理解している廣戸先生であっても、先生はB2タイプで私はA2タイプなので、私の動きを根本的には理解できないと言っていましたね。

――そういった指導や情報発信には気を付けたいところです。ところで三土手さんはトレーナーとしての指導のみならず、YouTubeでも情報を発信しておられます。発信するうえで、気を付けておられることはありますか。

三土手 4スタンス理論的な観点で言うと、見てくれる人全員に当てはまることを言うのは、正直できないんですよね。だから、どんな人が見ても参考になるような情報しか極力載せないようにしてはいます。もしタイプが違っていても、それさえ守っていればいいフォームになりますよ、というようなことしか発信していませんね。

――前回のお話にあったように、万人の正解となるトレーニングなどは存在しない、ということですね。

三土手 ある人にとって、今もっとも最適な答えというのは出せるかもしれませんが、全員に正解となるようなものは出せません。前回も言いましたが、「自分にはこれが正解です」というものは結局、自分のタイプのことしか言わないことになり、すごく無責任な発信になってしまうので。

――4スタンス理論やトレーニングのことを知りたければ、No Limitsに来てくださいということですね(笑)。

三土手 ぜひ(笑)。4スタンス理論に関するマスター級の資格を持っているトレーナーは他にも何人かいますが、No Limitsは4スタンス理論をしっかりと学べるジムとして廣戸先生から認めていだいている、唯一のジムですから。そこは自信を持って言えます。

vol.5へ続く

取材・文/木村雄大 写真/中野皓太

三土手大介(みどて・だいすけ)
1972年8月26日生まれ、神奈川県横浜市出身。ウエイトトレーニングジムNo Limits代表。レッシュマスター級トレーナー。一般社団法人レッシュプロジェクト理事。
高校3年生のときにパワーリフティング競技をはじめ、20歳のときに全日本選手権110キロ級で史上最年少優勝。次々に日本記録を塗り替え、世界大会にも積極的に参戦。2000年の世界選手では、スクワット、ベンチプレス、デッドリフトでトータル1トンを記録し、ベンチプレスは当時の世界記録を塗り替えた。現在はトレーニングジムNo Limitsの代表として、トレーニングの指導にあたっている。自己ベストは、スクワット435キロ、ベンチプレス360キロ、デッドリフト320キロ、トータル1060キロ。4スタンスタイプはA2。
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