心身健康俱楽部・枝光聖人の 「これならできる! はじめての筋トレ」~筋トレできない9割の方へ




自主的にトレーニングできる人は1割だけ

心身健康倶楽部代表の枝光さん

しかしある日、希望の光が差した。かつてコナミの会員だった方から連絡が来たのだ。元会員の人はこう言った。『私は自力ではジムのトレーニングを続けられないので、パーソナルトレーニングをお願いできませんか?』と。

「つまり、世の中には、一人で筋力トレーニングを続けられる『自主トレ組』と、挫折してしまう『できない組』の2つに分かれているんです。僕の調査では、9割の人が『できない』。半年、1年とトレーニングを続けられる方というのは、全体の中で1割しかいないんです。パーソナルトレーニングは、結果を出したいアスリート、そして自力では続けられない人に向いているわけです」

これに気づいた枝光さんは、ジムを退会した人のリストを集めて、中高年向けのパーソナルトレーニングの営業をかけた。すると爆発的な勢いで人が集まることに。その後、中高年専門の心身健康倶楽部を設立した。

「こうした経緯があるので、私の主催している心身健康倶楽部には、『自分で筋トレできるマッチョな人は、どうぞ来ないでください』とお伝えしています。中高年になると運動不足で筋力が衰え、生活習慣病の予備軍になり、いろんな不調が出て来ます。

とくに50代後半から60代になると、さらに調子が悪くなってきて、一般的なジムのトレーニングも続かなくなってしまい、整体や整骨院に行くようになる。しかしそういったものは一時的には体がラクになっても、しばらくすればまたくたびれてきます。

これを根本から改善するには、筋肉のアンバランスを整えること。たとえば、右ききの方であれば、右手ばかりで仕事をしているので、右と左の筋肉の量が違ってきたりします。

また、ふだんあまり歩かない方は足腰が弱ってくるので、前後の筋肉バランスが崩れてきて、姿勢が悪くなったりする。こうした筋肉のアンバランスを整えない限りは、整体や接骨院に行っても再発します。ベンチプレスで100キロをあげるよりも、全身の筋肉をバランスよく、上手に使えるほうが、日常生活に活きてきます」

そして、トレーニングを継続させるためには、メンタルや栄養摂取などのケアも必要だ。

「健康は、『心・体・環境』という3つのサイクルでつながっていて、フィジカルトレーニングだけでもダメだし、メンタルケアだけでも、栄養や食事、環境を整えるだけでもダメなんです。このトライアングルがバランスよく整っていることが重要。これを整えれば、生活習慣病はほぼよくなります。

バランスのとれた筋肉の状態になってこそ栄養摂取も身になるので、『こういうトレーニングをして、このタイミングで食事をすると栄養の吸収率が上がる』という指導をします。逆に、栄養を吸収できる体になってないと、せっかくの栄養も垂れ流しになります。

また、そういう状態になるためにはメンタルも大切です。筋トレ、コーチング、栄養など、全体的なケアを行なっていくことが重要です」

取材・文/三島衣子


枝光聖人(えだみつ・まさと)
心身健康倶楽部代表取締役。パーソナルトレーナージャパン株式会社。人間総合科学大学人間科学学士。心身健康科学修士。厚生労働省認定ヘルスケアトレーナー等。ゴールドジムでアスリート向けのスポーツトレーナー等を経験した後、中高年へのトレーニング指導へと転向、「心身健康倶楽部」を設立。以後15年以上に渡る経験トレーニング指導を持つ。著書に『毎日の不便を「喜び」に変える筋力アップの方法 老筋トレ』(法研)、『はいはいエクササイズ』(ベストセラーズ)等。
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