たばこは運動機能にどんな影響をもたらすの?【川﨑泰代の美筋食】




「走るフードコーディネーター」川﨑泰代さんに体づくり、健康づくりのための食事と栄養について教わる連載。知っているようで知らない、身近なテーマに関する質問に答えてもらいます。今回のテーマは、喫煙が運動時に与える影響について。
※本記事は2019年に投稿された記事を再編集してお届けするものとなります。

Q.プロのスポーツ選手がたばこを吸っているところを見かけることがあるのですが、スポーツをしている人がたばこを吸っても問題ないのでしょうか?

A.たばこが運動能力に与える影響として、呼吸機能の低下による息切れ・持久力の低下があります。たばこの煙は肺の細胞を炎症・破壊し、体に酸素を取り込みづらくさせてしまいます。スポーツ選手はとくに有酸素運動をされる方が多いと思いますので、たばこを吸っても問題ないということはありません。

そのほかにも、筋力の低下や瞬発力の低下にもつながるとされています。たばこに含まれるニコチンは、脳や神経を興奮させる作用があるため、たばこを吸ったほうが安定する方もいます。ですが、その感覚はニコチンが切れるまでのその場限りのものであり、覚せい剤や麻薬を使用した時と似たような作用であるため、習慣的な喫煙で神経を刺激し続けると、ニコチンがないと身体を動かしにくい体質になってしまうこともあります。

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ケガの予防や治療にコラーゲンが注目されることがあるのですが、それは骨や筋、靱帯の主成分がコラーゲンであるためです。中でも運動をする上で重要な役割を担う靱帯は、90%がコラーゲンで形成されており、ケガの治りもコラーゲンを摂取している人は摂取していない人の3倍早いというデータもあるようです(2019年当時)。

コラーゲンというのはアミノ酸とビタミンCの合成によってつくられるものですが、たばこを1本吸うことで、体内のビタミンCは約25~30ミリグラム消耗してしまいます。そのため、体内でコラーゲンをつくりづらくなり、結果的にケガの治りを遅くしたり、ケガをしやすい体になってしまうというわけです。

女性がたばこを吸うと肌が荒れるのも、ビタミンCの消耗によるコラーゲンの形成不足が関係しています。肌のカサつきの原因にもなりますので、女性や運動される方はもちろんのこと、すべての方に禁煙を心がけていただきたいです。


川﨑泰代(かわさき・やすよ)
フードコーディネーター。アスリートフードマイスター。食育インストラクター。IHクッキングクリエーター。小学生のころよりバレーボールを始め、以来スポーツが生活に欠かせないものとなる。「走るフードコーディネーター」として、自らもフルマラソンに挑戦するなどアスリートとしての顔も持つ。自身の経験から「強い体と心は『食事』で作られる」というコンセプトのもと、一般アスリートからトッププロまで幅広く食事を指導。テレビ、ラジオ、雑誌などメディアでも活動している。
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