自衛官、プロボクサーを経てトレーナーの道へ。「すべてがうまくつながっていきました」【筋肉隆々なコスプレイヤー・MASA#2】




鍛え上げた筋肉を活かしたコスプレを行ないながら、パーソナルトレーナーとしても活動しているMASAさん。元陸上自衛官という経歴を持つMASAさんは、いったいどのような歩みで現在に至り、ハイレベルなコスプレを披露するようになったのだろうか。インタビュー第2回では、そんなMASAさんが筋トレを始めたきっかけや、これまでの歩みについて伺った。

人生の歩みの中には、つねに筋トレがあった

――MASAさんのコスプレでは、鍛え上げられた筋肉が際立っています。筋トレを始めたのはいつからでしたか。

「筋トレに触れたのは中学生くらいからですね。本格的なトレーニングはしていませんでしたが、ダンベルを買ったり、プロテイン飲んだりしていました。そこから今に至るまでずっと筋トレは続けています。理論に基づいたトレーニングをするようになったのは社会人になってからだと思います」

現在もトレーニングを欠かさないMASAさん

――そもそもきっかけは何だったのでしょうか。

「当時ハマっていたマンガがきっかけでした。『ジャングルの王者ターちゃん♡』や『ドラゴンボール』のキャラクターにあこがれて、自分もマッチョになりたいと思いました。今思えば、そこからコスプレイヤーへの道が始まっていたのかもしれません(笑)」

――基本的に、どういったトレーニングを?

「最初は何も知らなかったので、腕立て伏せであればとにかく限界までやる、動かなくなるまでやるといった形のトレーニングをやっていました。腹筋も100回など、かなりの高回数で行なっていました」

アニメへの愛が、筋トレの原動力にもなっている(撮影:@VALKEN_ZERO)。

――筋トレの効果はどうでしたか。

「効果は割と出ていたと思います。中学生の割には腹筋が割れていたので、マッチョというあだ名になっていましたよ(笑)」

――学生時代、スポーツは何かやっていましたか?

「中学は帰宅部で、高校ではジムに通ってキックボクシングをやっていました。プロボクサーを目指して、結構本格的に練習していました。高校はキックボクシングの練習がメインだったので、懸垂や腕立てといった自重トレーニングを行なっていました」

――プロを目指されていたのですね。

「はい。ですがプロになるには親を説得しなければいけなくて、親からは『自衛隊に行ったら、その後は何をしてもいい』と言われました。そういった経緯で、陸上自衛隊に就職することになりました」

――自衛隊というとみなさん筋肉隆々で、ハードに訓練するイメージがあります。

「じつは、ひとくちに自衛隊と言っても、所属によって違いがあります。僕が行ったのは自衛隊の普通科で、歩兵として比較的ハードに訓練していました。人命救助を担当するレンジャー部隊・パラシュート部隊といった人たちはさらにハードに鍛えていたと思います。他にも後方支援や通信課といった担当もあり、そういった人たちは事務方なのであまり鍛えません。適材適所で自衛隊は構成されているんです」

自衛隊時代のMASAさん

――MASAが所属していた普通科では、日々どのようなトレーニングを?

「どちらかというと走ることが多かったですね。あと自重での筋トレを行なっていました。走って、腕立てをしてという日々ですね。世間的な印象よりも、比較的スリムな隊員が多いと思います。僕は自衛隊でのトレーニングに加えて、自分で鍛えるようにしていました」

――自衛隊での日々は、MASAにとってどのように感じましたか。

「体力的には大丈夫だったんですけど、個人的に集団生活が苦手なので、それがストレスでしたね。トレーニングのレベルをグループメンバーに合わせないといけなかったり、連帯責任というのは少しきつかったです。僕は自分のペースで物事に取り組むのが合っているなと思いました」

――自衛隊を辞めたあとは、プロボクサーになる目標は叶いましたか。

「はい。自衛隊を2年で辞めた後、スポーツクラブでバイトをしながら、プロボクサーになりました。ただ、アマチュア時代の試合中に網膜裂孔という目のケガをしてしまい、現役継続が困難になりました。網膜に穴がたくさん空いてしまい、そこに水が入ると網膜剥離となって視力低下や失明を引き起こすのですが、僕はその一歩前段階です。そのため、プロライセンスを取得したもののプロで試合をすることはできませんでした」

――そうだったのですね。ではそこから、トレーナーの道に進んだのでしょうか。

「そうですね。ただ、もともとスポーツクラブでアルバイトを始めたのも自衛隊の決まりで、次の勤務先が決まっていないと辞めることができなかったんです。それでたまたま職場の近くにあったジムがアルバイトを募集していたので、流れでトレーナーの道に進んでいった感じです。キックボクシングの経験があったので、ボクササイズの指導で経験を活かすことができたのは大きかったですね。こういった経緯なので、トレーナーの専門学校も行っておらず、現場からそのままトレーナーになりました」

――スポーツクラブでアルバイトを始めたのも、縁がありましたね。

「運動は得意でしたし、自分に合っていたのかなと思います。ただとにかく知識がなかったので、26歳の時に『このままじゃまずい』と思い、体のことを一から勉強して、なおかつ鍼灸師とあん摩マッサージ指圧師の資格を取りました。そういう風にコツコツ努力して、仕事のスキルを身につけていきました」

――自ら勉強して、スキルアップしていったのですね。そして最終的に、MASAさんはフリーのトレーナーとしての道を選びましたよね。

「はい。ありがたいことに、アルバイト時代からのお客様に慕っていただいていたので、パーソナルをやろうかなと思うようになりました。筋トレやキックボクシング、ジムでの指導など、今までやってきたことが、偶然にも全部がつながっていった感じでした」

(最終回に続く)


MASA
筋肉隆々なコスプレイヤー。アニメやゲームのキャラクターを中心に、高いクオリティのコスプレを披露している。元陸上自衛官という経歴を持っており、現在はフリーのパーソナルトレーナー、スタジオインストラクター、鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師として活動中。
★MASAさんTwitterアカウント→@masachanneldesu