那須川天心の対戦直訴から約7年。世紀の一戦と謳われた黄金カードが、ついに決着の時を迎えた。関心の高さを示すようにアリーナ1列が300万円、最低のA席でも1万5000円という破格の料金設定ながらチケットは瞬く間にソールドアウト。ゲート収入だけで20億円、ABEMAでのPPVも驚異的な伸びを見せた。
異様な空気が東京ドームを包み込む中、41勝(28KO)無敗(キック)の那須川天心と、41戦40勝(24KO)1敗の武尊がついにリング上で向かい合った。
※第8試合終了後(17時18分)に当日計量を実施。「58kgから4kg戻しまで」という契約の中、那須川が61.95kg、武尊が61.75kgでクリアした。
1R、ファーストコンタクトは那須川の左ストレート。すぐに武尊も右ミドル、前蹴りで応戦する。序盤から那須川の右のジャブが効果的にヒットし、武尊のアゴが上がる場面も多く見られる。やや手が出ない武尊に対し、那須川は左ハイ、飛びヒザなど多彩な攻撃を仕掛ける。終盤になって武尊がギアを上げるが、那須川のワンツーがクリーンヒット。左フックで那須川がダウンを奪ったところで1Rが終了。
2Rも那須川の手数の多さが目立つ。武尊もパンチで圧力をかけるが、そのたびにジャブで動きを止められてしまう。それでも構わず武尊が前に出るが、偶発的なバッティングで試合が一時中断。那須川の回復を待って試合再開となる。再開後は武尊が一気にスパート。ラウンドのトータルで那須川がやや押しているようにも見えたが、ジャッジの一人が右のフルスイングで前に出続けた武尊を支持。武尊らしさが見えたところでゴングが鳴った。
3R、ゴング直後から武尊が左フックを軸に前に出続ける。1、2Rと違い武尊がプレッシャーをかける展開が続く。武尊の左フックで那須川が後ずさりしたあたりから試合のボルテージは一気に上がり、那須川のパンチが当たっても武尊は笑みを浮かべながら左右のフックで応戦。KO級のパンチがリング上で交錯する中、世紀の一戦が終了した。
ゴングが鳴ると同時に両者はリング上で抱擁。那須川は感極まった表情で、武尊の胸に顔を埋める。試合後のマイクでも涙を流しながら「俺、勝ったんだよ!」と絶叫。「武尊選手がいたからこそ、ここまで強くなれた」と、武尊への感謝を述べつつ大観衆の声援に応えてみせた。
『THE MATCH 2022』
2022年6月19日(日)、東京ドーム
[第15試合/-58.0kg契約/3分3R・延長1R]
〇那須川天心(TARGET/Cygames)
判定5-0 ※30-28、30-27、30-28、30-28、29-28
×武 尊(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)